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[遠藤功治]【意外、国内利益率は低水準】~大手自動車会社決算と今後の課題 トヨタ 2~

Japan In-depth / 2015年6月1日 23時0分

トヨタ自動車の国内販売は、トヨタ・レクサス・ダイハツ・日野の4ブランド、トヨタ・レクサスの大半が登録車、ダイハツが軽自動車(一部ダイハツの軽自動車をトヨタが販売していますが)、日野がトラックということになります。昨年度の販売台数は前述の通り1.6%減少、昨年3月末の消費増税により、4月以降登録車を中心に販売は大幅に減少、夏場以降戻ると思われていたものが期待外れで全く不調のまま、年末まで続いた、というのが実態です。

一方、ダイハツの軽自動車は、スズキとの過激とも言える販売競争により、増加しましたが、不毛な戦いであったことは、このJapan In-depthでも取り上げました。一方、トヨタの輸出は1.8%減少の178万台、トヨタの国内生産は318万台と5.7%減少しましたが、国内生産最低ラインとしている300万台は死守しました。国内生産に対する輸出比率は56%で、積極的に海外に生産を移行してきたホンダ(3%)や日産(15%)に比べると、まだかなりの高水準です。日本国内での販売で利益がそれほど上がってはいないにせよ、輸出を有る程度温存することで、国内生産台数を確保、限界利益を確実にし固定費をカバー、輸出分では円安メリットを享受、そして北米や東南アジアで確実に設ける、というのがトヨタのビジネスモデルでしょう。

2015年3月期の北米利益は5,845億円で、全体の21%、一昨年度比2,500億円余りの増益です。販売台数は7%増と堅調、特にレクサス部門は過去最高を記録、ガソリン安の影響で、プリウスなどが弱い一方、SUVやピックアップトラックが好調であったことも増益に貢献。一方、トヨタの金融部門の利益は、3,618億円で、これも一昨年度比670億円の増加です。トヨタの金融部門の利益はトヨタ全体の約13%で、その金額はマツダやスズキの営業利益よりも遥かに大きい訳です。また、この金融からの利益のうち、約70%程度は米国分だと想像されます。勿論、トヨタの金融というのは、自動車の販売金融で、米国では特にCaptive financeと言われ、トヨタ・ホンダ・日産が積極的に手掛けています。そして、ここでのリスク管理次第で、米国での販売や利益が大きく影響を受けてきます。北米のトヨタは、大型車の販売好調プラス、金融利益の好調と円安が寄与、当面は着実に増益基調が続く模様です。

アジアの利益は4,217億円と全体の15%、一昨年度比6%増と小幅な伸びに留まりました。原価低減と円安効果がその要因の大半で、販売自体は主力のタイやインドネシアでの不振が響き、7%の減少となっています。

(この記事は、【営利、我が国初の3兆円乗せへ】~大手自動車会社決算と今後の課題 トヨタ 1~ の続きで、【“意思ある投資”にシフト、一気に攻めに転ず】~大手自動車会社決算と今後の課題 トヨタ 3~ に続きます。このシリーズ全3回。記事中に貼られているリンクを見るには、http://japan-indepth.jp にてお読みください)

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