[Japan In-depth 編集部]【東京都心で爆弾テロ発生?】~民間と警視庁、大規模訓練実施~
Japan In-depth / 2015年6月4日 12時13分
「6月2日午後、東京都の複合ビル“虎ノ門ヒルズ”でテロ事件が発生しました。不審な行動を取っていた人間を警備員が発見、質問をしようとしたところ、突然発砲したため、110番通報され、警視庁のテロ対策チームが到着、警察犬が容疑者に飛びかかり制圧しました。又、この人物が設置しようとした爆発物と思われる物体には最新の爆発物処理ロボットが投入され、午後3時までに爆発の危険はなくなったということです。」
これは実際に起きた事件ではない。ビルを運営・管理する民間デベロッパーと警視庁が合同で行った爆発物テロ合同訓練の様子である。
訓練には虎ノ門ヒルズを管理する森ビル株式会社、愛宕警察署警備第二課、第五機動隊が参加、テロリストが爆発物を置くところから始まった。店舗のスタッフが警察に速やかに通報し、警察官が到着、その後警察犬がテロリストを制圧し、爆発物処理班によって爆発物の処理訓練が行われた。
ビル内で働く約2000人は緊張した面持ちで訓練の様子を見守った。威嚇発砲したテロリスト役に警察犬のアポロ号が飛びかかり制圧した際には見学者から拍手が起きた。また、もう一頭の警察犬ファント号が爆発物を探知しその場に座ったのが確認されると、特殊防護服を装備した機動隊員たちが出動し、マジックハンドや爆発物を移動させるための可搬型収納庫、最新のロボットを使用して爆発物処理が行われた。
装備の説明や防護服の重量が30kgであることが紹介された際には見学者からは驚きの声が聞かれた。訓練の終盤テロリスト役が拘束され、爆発物が無事処理されると一段と大きな拍手が沸き起こった。多くの見学者は警察犬に興味を持っていたようで多くの人が警察犬にスマートフォンを向け撮影していた。
来年、日本で行われるサミットそして2020年に開催される東京オリンピックに向け、警察だけでなく民間の企業もテロなどの緊急事態に備える積極的な姿勢がうかがえた。森ビル株式会社副社長の森浩生氏は、「サミット、そして2020年に行われる東京オリンピックに向けて東京はさらに注目される都市となるが、そうなる一方でよりテロのターゲットとなりやすくなる。それに備え警察などの国の機関だけでなく、民間レベルでもよりこのような訓練に力を入れたい。」と語った。
また、愛宕警察署長本間均氏は「国際的にみてもアメリカ同時多発テロ以降テロへの警戒を強めている。そして近年ではイスラム国による邦人殺害事件、またローンウルフ(テログループとは関わらず単独でテロ行為を行う人物)、国内的にはオウム真理教、極左グループなどの犯行も起こっている。オリンピックなどに向け意義ある訓練を行いたい。」とも述べた。
訓練の際、警察犬の出動を見たあとすぐに帰ってしまう見学者が多くいた。日本の避難訓練はあまりにもシナリオ通りで実践的ではないとも言われる。また、こうした訓練を実施していない企業も多い。大都市の住民はいつもテロの危険と隣り合わせだ。まずは、国民一人一人が危機意識を持つことが未然にテロを防ぐことにつながるのではないか。
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