[遠藤功治]【トヨタがマツダにアプローチした理由】~大手自動車会社決算と今後の課題 マツダ 2~
Japan In-depth / 2015年6月7日 11時0分
それが今回、出資を一切伴なわず、技術・生産を中心とした、比較的緩やかな提携となりました。この提携は一部報道によるとトヨタからもちかけた、ということですが、トヨタにもマツダにも大きなメリットが期待できるのではないでしょうか。通常、小さな会社の方が、大きな会社からの有形無形な援助をもらうことになり、相対的にメリットは大きくなる、今回の場合もある程度、これが当てはまると思います。
マツダはトヨタから主に、FCVとハイブリッド周辺の技術を取得する、米国などではトヨタの販売金融子会社の支援を受ける、そして最も重要かもしれませんが、トヨタ系部品会社との結びつきがより堅固になる、ということでしょう。一方トヨタがマツダから得るものは、SKYACTIVを中心としたレシプロエンジンの発展型、その技術、及び、開発における独自性かもしれません。
提携が発表になり、インターネットなどでの反響の大半が、マツダがトヨタに飲み込まれかねない、そのことに対する懸念でした。トヨタ車を買う購買層と、マツダ車を買う購買層は、全くの正反対、車への安心感・快適感・販売面での信頼、乗っていて面白くもなんともないが、アフターケアも含め、安心して乗れる、これがトヨタ車購買層で比較的保守的なシニア層。
マツダ車は、斬新なスタイル・わくわく感、革新的な購買層で比較的若い層が中心。仮に全てのマツダ車がトヨタのような車になれば誰も買わなくなる、そうなって欲しくない、というような懸念でしょう。5月末に開かれたトヨタの労使懇談会で、豊田社長からのメッセージが紹介されたそうですが、その中でも豊田社長はこのことに触れ、「トヨタが単なる大企業であり、応援したいとおもえるような会社ではない、世間の皆様から、そう見られているのではないかと、正直危機を感じた。マツダとの提携を通じて、お客様の期待を超える魅力ある商品を世に出していくためには、マツダさんを知り、自らを見つめ直し、謙虚に学ぶことが必要」と言っています。まさにこれが、トヨタがマツダにアプローチした大きな理由でしょう。
(この記事は、【株価一人負けのマツダ、その理由は?】~大手自動車会社決算と今後の課題 マツダ 1~ の続きで、【【トヨタ系部品メーカーからの調達を得たマツダ】~大手自動車会社決算と今後の課題 マツダ 3~ に続きます。このシリーズ全3回。)
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