[清谷信一]【自衛隊は空中給油機活用を見直せ】〜その高い費用対効果〜
Japan In-depth / 2015年7月3日 19時12分
陸自は速度、航続距離に優れたオスプレイを導入する。オスプレイはヘリでは到達できない距離を移動することが可能だ。だが、むしろ本来陸自の保有するCH-47やUH-60シリーズにも空中給油能力を付加させるべきだった。既に運用しているシステムを利用するのでコストも安いし、訓練や整備面でも有利だ。また運べる貨物や人員も多い。
既存ヘリの空中給油機能付加を行うのであれば、オスプレイ導入の理由の航続距離は意味をなさなくなり、速度だけが利点となる。だがそれに数千億円をつぎ込むだけのメリットはなかったはずだ。
またオスプレイを導入するにしても、オスプレイは空中給油が可能であり、その能力を引き出すためには空中給油機の増勢は必要だ。またオスプレイのペイロードは22名程度の兵員が輸送できる程度であり、UH-60とCH-47の中間程度であり、たいして大きくはなく、重装備は運べない。このため回転翼機による輸送力、特に遠距離への兵力投射能力は十分とは言えない。陸自のヘリが海自のDDHなどとランデブーするにもヘリへの空中給油機能付加は是非必要だ。
空自では早期警戒機の増強のために米海軍が採用した、E-2Dの採用を決定した。これは現用のE-2Cの後継機だが、米海軍は早くもE-2Dに空中給油機能を付加させるプログラムを進めている。この計画は現在4~5時間の同機の滞空時間を8時間以上に延ばそうというものだ。
飛行時間が延びると、艦載機であるためにただでさえ居住環境が悪いE-2Dのクルーの身体的負担が増えるので、新しいより快適なシートを導入するなどの疲労軽減対策もなされるようだ。また同機で採用されている新しいハミルトン社のプロペラは振動が少ないので、E-2Cよりはクルーの負担が少ない。
運用の柔軟性の確保を考えれば、空自のE-2Dにもこの空中給油機能を導入すべきだ。問題は現在も空自のE-2C運用で問題となっているクルーの肉体的な負担だ。これは前記のように対策が取られているが、負担軽減のためには例えばクルーを倍増して2交代制にするというのも一案だ。哨戒時間を二倍以上に伸ばせるメリットは大きい。
ヘリ、E-2D、オスプレイはプローブ・アンド・ドローグの給油システムを採用している。是非とも3自衛隊の統合運用能力向上のため、空中給油を行えるシステムを構築すべきだ。だがこれらの機体に対してKC-767は空中給油できない。空中給油を行うのであれば、C-130Hの給油機を使用することになるが、機数が少なすぎる。
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