[神津多可思]【日本経済は新しいフェーズに入るのか?】~非製造業の景況感が改善中~
Japan In-depth / 2015年7月6日 23時0分
まず気が付くのが、バブル崩壊後、非製造業の業況判断D.I.がプラスとなった時期は、リーマンショック前のごく短い期間を除き、ほとんどなかったということだ。景気の状況をみる時に、しばしば使うのは大企業・製造業なのだが、これまで景気拡大局面と言われてもあまり実感がなかったのは、中小企業も含めた非製造業の景況感が改善をしていなかったせいかもしれない。
この2年をみると、全産業・非製造業の業況判断はずっとプラスの領域にある。これはバブル期以降なかったことだ。さらに、製造業と非製造業を比べると、概して、製造業の業況判断D.I.のほうが振幅が大きい。つまり、製造業は非製造業に比べ、景気拡大局面ではより大きく景況感が改善し、景気後退局面ではより大きく悪化する傾向があるということだ。
しかし今回は、非製造業の業況判断D.I.がプラスの局面にあっても、そのレベルは製造業・非製造業ともあまり変わらない。むしろ非製造業の方がちょっと高いくらいだ。これもバブル期以来のことである。
現在、資産バブルが危機的に膨れ上がっているとまではなかなか思えない。そうした中で、中小企業も含めた非製造業の景況感が、バブル崩壊後の時期には観察できなかった形で改善している。そのことは、私たちの日常生活により身近なところでの経済活動の活発化を反映しているのかもしれない。
それを通じて、一人当たりの所得が増加すれば、その分、平均的には生活は上向くはずだ。しかし、そうなっても、労働人口が減少する下では、経済全体としての成長率はそうは高まらないだろう。バブル崩壊後、四半世紀が過ぎ、日本経済は新しいフェーズに入りつつあるのだろうか? 足元の変化の兆しがこれからどう展開していくか、常に新しい目でみていく必要があるように感じている。
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