[細川珠生]【“生涯派遣で低賃金”の派遣法改正】~民主党牧山ひろえ参議院議員に聞く~
Japan In-depth / 2015年7月10日 11時0分
今回の派遣法改正、何が問題となっているのか。「派遣期間の制限が事実上撤廃される。これによって派遣労働者は低い賃金のままになる。」と牧山氏は指摘する。そもそも企業は継続的な業務があれば正社員を雇わなくてはならない。派遣とはあくまでも一時的、臨時的なものである。派遣期間は最長3年だが、今回の改正によって、同じポジション、同じ仕事でさえなければ、または別の部署に移せば、期間を3年以上に延長できるようになる。
牧山氏は、正社員と派遣社員の賃金は3~4割も違うことを指摘し、「生涯派遣で低賃金に繋がりかねない。これがこの法案のもっとも大きな問題点だと思う」と指摘した。
与党側は改正を急ぎ、国会は大荒れとなっている。与党が急いでいる理由はどこにあるのかという問いに対し、牧山氏は、今年10月に施行が予定されている派遣労働者を保護するための法律を挙げた。
民主党政権時代、派遣社員が3年以上同じ業務で働いた場合、派遣先の会社が直接雇用の労働契約を申し込んだと見なされるという見なし制度が創設され、今年の10月1日に施行されることになっていた。つまり、3年以上同じ会社で働いている派遣社員は、希望すれば正社員になれるようになるのだ。この制度で正社員になる人が増えると、企業側にとっては負担となる。「その前にこの流れを食い止めたいというのが経営者側の本音。安倍政権は経営サイドの味方なので、労働者の立場に立っていない」と牧山氏は指摘した。
問題はこれだけではないという。現行制度では、システム開発や通訳などの26業務は派遣期間の制限がなく、本人が希望さえすればずっとその業務にいられた。「今回の改正で3年の上限となり、3年後に雇い止めや派遣停止の危険が生じる人が数十万人出ると言われている。」と牧山氏は問題点を指摘し、「法律をころころかえて働く皆さんの人生設計を崩してしまうことは極力避けなければならない」と語った。
アメリカでの生活が長く、米弁護士資格も持つ牧山氏。アメリカと日本の雇用形態は全く違うが、これからの日本の働き方はどうあるべきか、考えを聞いた。牧山氏は、「まじめな方が報われる社会を作っていかなければならない。結婚したい人がいたら結婚して、子供を産んで、家を建て、ということを希望する人ができるようにしていかなければならない。」と話す。
また、自身のアメリカ生活の経験から、「アメリカでは賃金の格差がパートと正社員で、日本ほどは差がない。また、パートが正社員になるのは日本ほど難しくはない。その代わり、一生働けるという保証はないが、スキルアップしていけばずっと働ける。」と説明し、日本の社会よりも努力をすれば報われるということを示した。細川氏もそれに同意し、「雇用者側に立った見方しかないのは国民にとって不幸。国民の側に立って、参議院でも追及をしていってほしい」と牧山氏に期待感を示した。
(この記事は、ラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2015年6月20日放送回を要約したものです)
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