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[安岡美佳]【新国立競技場、創造的デザインの背景とは】~ダイアローグを前提とする欧州の建築家たち~

Japan In-depth / 2015年7月11日 18時0分

二つ目に、欧州のダイアローグの文化が、このような建築家の活躍を支えることができているということがいえる。北欧では、デザインが採用された後、建築家と施工業者とのネゴが欠かせない。どちらかというと建築家の方が立場が強いことが多いらしいが、オリジナルを基礎とし、先端素材や先端技術を駆使して、実現可能性を押し広げることが必要になる。建築業者側エンジニアは、最新の素材などを模索し、なんとか建築家が描いたデザインを最大限生かす方法を考えることになる。

このように考えてみると、ザハ・ハディド氏を含め多くの欧州建築家のデザインは、その建築家としての教育プロセスや背景知識が日本のそれとは異なるがゆえに、奇抜であったり、構造が実現可能性から程遠かったりする。だがしかし、創造性が存分に発揮されるデザインになるという特徴があるのだろう。物理的・予算的制約から、そのまま建てられるデザインではないということは、北欧の建築シーンを追っていると多くのケースに当てはまるようだ。

私は、建築分野にはそれほど通じているわけではなく、考え違いの部分もあるかもしれない。また、日本の建築界の状況がどのようなものなのか、理解しているわけではないので、大きな勘違いもあるかもしれない。ただ、おそらく、ザハの建築デザインを採用した方々は、国際的に活躍されていて、このあたりの事情をよく理解していたはずだ。

ザハと施工主側は、より深いダイアローグを通して知恵を出し合うことで、創造的なデザインを出発点に、より理想的な修正案に調整するという、欧州では普通にされているプロセスを忘れちゃったんじゃないだろうか。

トップ画像出処:Ordrupgaard HP

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