[文谷数重]【辺野古新設は早晩行き詰まる】~安倍政権失速で沖縄の反対運動は激化~
Japan In-depth / 2015年7月15日 18時0分
安倍政権は力を失いつつある。国会での焦点は採決の日程に移りつつある。結局のところ、現与党は議席数で圧倒しているため、可決も再可決も自在である。だが、どのように懐柔的な取り扱いをしたところで、現況では強行採決とならざるを得ない。不人気なだけではなく、憲法上での整合性に疑義がある法案である。それを強引に押し通す以上、安倍首相は一段階以上に支持を失い、パワーダウンすることは間違いない。
■ 推進力は低下し、反対運動は激化する
首相影響力が低下すれば、辺野古建設でのゴリ押しも難しくなる。現政権は普天間・辺野古問題では強硬策で推進してきた。沖縄全体が反対する中で内閣は今でも無理押しを続けている。それができたのは首相が力を持っていた結果である。与党や内閣、省庁。官僚機構を従わせ強硬策を取らせていた。だが、指導力が弱体化すれば今までのような強硬策は取れなくなる。
対して、辺野古についての抵抗は強まる一方となる。現段階は未だに調査工事に過ぎない。あくまでも測量や地質調査を行い、設計、施工方法を決めるものだ。今後、本工事にとなると抵抗は更に強くなる。着工や、さらにその中での仕切堤着手、埋立土搬入といった見えやすい段階に進むたびに、地元の反感や反対運動が強硬となる。
沖縄はすでに徹底抗戦でまとまっている。翁長県知事の指導力により、県会は埋め立て土砂規制を賛成多数で可決した。これは県議会も「辺野古建設を妨害できるなら、那覇の第二滑走路増設が遅れても構わない」と徹底抗戦でまとまったことを示すものだ。第二滑走路以下の飴により、辺野古を飲ませることはできないことを示している。
今後は、工事を強引に進める力は弱まり、反対運動はパワーアップする。そういうことだ。もちろん、これからも中央政府は強引な手段を講じるだろう。ニュースでは、建設が一歩前進した印象も生まれるかもしれない。だが、その強引な手段に現地は反発し、ヨリ強力な抵抗を引き起こすことになる。県知事の指導力も同じである。中央政府がゴリ押しを続ければ続けるほど、県知事はパワーアップ位する。抗日戦での蒋介石と同じで、戦術的に負けようが、戦う姿勢を保つだけでヨリ強力になっていく。
そして、辺野古完成まで政府は力で押切れない。辺野古の本工事は順調に進んでも着工から9年掛かる。そこまで安倍政権は続くものではないためだ
■ いずれギブアップを勧告される
辺野古新設は早晩に行き詰まる。今は首相の肝煎で強引に進めているが、パワーダウンしつつある。政権交代の有無はともかく首相が交代すれば、案件は火中の栗である。後継者が拾うようには見えない。その場合に工事中止は決断できないまでも、作業停止となる。
そうなると、米国もギブアップを勧告する。すでに現段階でも米国は移設計画への懸念を表明している。日本政府は「予定通り埋立を実施する」と返答しているが、既に述べたように現実的には不可能である。もちろん、今のところ米国は日本政府の面子を立てる以外の選択肢はない。だが、内心では最後まで行くとも思っていない。一度行き詰まれば、辺野古以外の選択肢や沖縄県との和解を勧める。
完成しない基地のため、政府や本土は沖縄と対立すべきだろうか? ということだ。別記事で何回か述べているように、在日米軍の抑止力はほぼ海空軍で担保されている。それに較べれば在沖海兵隊は微々たるものである。その在沖海兵隊の抑止力のために、沖縄の感情を損ない本土への反感を募らせることは間尺に合わない。安全保障の面でも、在沖縄米軍の本体である嘉手納の安定利用を損なうことは得策ではない。
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