[為末大学]【不幸は“見方の癖”から来る】~全て自分に関連するはずだという意識~
Japan In-depth / 2015年7月16日 7時0分
幾つか発言をしてきて思うのは、人は自分が今抱えている問題、解決しようとしている問題、興味を持っている問題につなげて考える癖があるということだ。例えば
“群れは人を弱くする”
はデモをしている人たちから、デモを批判するのかと怒鳴られ、会社にいる人たちからは会社組織は人がたくさんいるから回るんだと言われ、教育関係者から人とうまくコミュニケーションする方法を学ぶには集団にいるしかないと言われ、よくわからない人にお前は売国奴だと言われる。
私に言っているバイアスというのが世の中にはあり、それは様々なものは自分に関連するはずだという意識のことだと私は定義している。実のところ世の中の多くの人は自分とは価値観が違い、自分が今熱くなっているものをどうでもいいと思っている。facebookで陸上の新井選手について発言したら、カープの新井選手についていろいろコメントをもらった。人は自分が興味を持った分野で様々な情報を解釈する。
それ自体は何の問題もないけれど、過度にこのバイアスが強まり、かつそのことに自分自身が気づいていない場合、何にでも噛みつく人になり周囲が面倒臭くなる。最も象徴的な例は、自らに自信がない人は、誰かがちらりと一瞥しただけで、自分は馬鹿にされたと感じ恨むようになる。問題に染まった人は、もう世の中の全てのものはその問題と関連していると信じきっている。
自信がなければ人は自意識過剰になる。世の中が私を攻撃していると感じるようになる。自信を持てば世の中を愛せるようになる。有森さんがメダルを取ったレースで、勝負どころでスペイン人から”ありもり”と応援されて、力を振り絞りメダルを取ったことがあった。実際には“アニモ”という言葉でスペイン語では頑張れという意味だったらしい。
不幸せは見方の癖である。同じ情報を自分への攻撃と取るか、応援と取るかは実は自らの見方の癖によって変わる。仮に勘違いであったとしても、それで結果が良いものになり誰かを幸せにするのならそれは素晴らしいと私は思う。
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