[山田厚俊] 【安倍首相、囁かれる体調不安と退陣説】~安保関連法案成立と引き換えに~
Japan In-depth / 2015年7月16日 8時20分
「“一内閣一仕事”だ。安倍晋三政権は、もう長く続かないかもな」
1カ月半ほどまえ、自民党古参議員がこう漏らしていたのを思い出した。7月15日、安全保障関連法案が衆院特別委員会で可決された。翌16日の本会議で衆院通過、“60日ルール”を使える日程を確保したことになり、安倍晋三首相は、9月27日まで会期延長した今国会での成立をほぼ手中に収めた格好だ。
しかし、13日にNHKや朝日新聞が公表した世論調査では、内閣支持率が不支持率を下回る結果となり、これまで高支持率に支えられていた政権の足元はグラついている。今週末に行われるマスコミ各社の世論調査の数字次第では、安倍政権は法案成立と引き換えに幕を閉じる結果になるのかもしれない。
冒頭の議員は、こうなることを予想していたかのようだ。その理由は、兎にも角にもこの安保関連法案の取り扱いだ。法案の立て付けが悪く、審議時間を100時間超えたといっても、国民は未だ納得どころか、何なのか理解できていない。説明不足のところを強引に進めれば、数の力で強引に進めている印象ばかりが目立ち、当然、支持率は落ちてくる。
加えて、囁かれているのが、安倍首相の体調不安説だ。持病の潰瘍性大腸炎は、改善どころか悪化の一途をたどり、まさに政治生命を懸けて法案成立に向けて前のめりになっている、との指摘だ。
安倍首相の心情を察して、自民党幹部たちは、安保関連法案と引き換えに、退陣を視野に入れて今後の政治日程を考えているとの話も漏れ伝わってくる。
だとすれば、9月の日中首脳会談に加え、日ロ首脳会談の前倒し要求も頷ける。9月までに法案成立、そして外交の成果を花道に退陣するというものだ。
しかし、安倍首相の花道論を考えるまえに、これまであまりにも杜撰な説明に終始していた安保関連法案について、もっと国民に向け真摯で丁寧な説明が求められる。時間を費やしたからといって、これまでの議論は十分とは到底言えないからだ。
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