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[岩田太郎]【無党派層の民意を米中に突きつけよ】~安保可決後の民意はどこへ 2~

Japan In-depth / 2015年7月30日 18時0分

敗戦国という国体が、平和と高度経済成長と社会の安定をもたらしていた時代、声なき声はそれを複雑な思いを抱きつつも受容してきた。その間、政治家や官僚は統制経済で国民を富ませ、懐柔することに成功した。敗戦の固定化という国体の護持は、多くの分野で一般大衆の利害と一致し、支持を受けたのだ。

だが今、日本にコストをシフトし、日本の犠牲で米国の利益を増大させるのが安保法制やTPPの本質だと、国民は疑い始めた。米国式の資本主義追求で開いた経済格差は、米国が日本に求めるTPPや改正派遣法や改正労働基準法で悪化する。現実的に見て日本が独力で中国の攻撃を撃退できないため、多くの国民は米国の片務的な日本防衛という「敗戦国体」には賛成だが、米国の兵力削減を補う目的で、自衛隊員が米国のためイラクで血を流す「敗戦国体」には反対なのだ。

米国の要求ばかりが強くなり、見返りや利益が少なくなる中、「国体の本義」が明徴化し始めた。それは、米国に便宜供与して利益が増大する政治家や官僚と、米国に貢いでも尽くしてもやせ細るばかりの国民の意識の乖離として、内閣不支持率の上昇に表れている。日本の傀儡政権であった南京国民党政府の汪兆銘主席や、満州国の張景恵総理の意識と、中国人大衆の民意が乖離した如くである。

しかし、中間的な民意を掬い上げる政策ベースのフォーラムは国会には存在しない。立法府、行政府、司法府に加え、サイレント・マジョリティのグレーゾーンという声なき声に執行力を持たせる、主体的な第4の権力府が必要だ。

早ければ今秋、遅くとも来夏の参院選に合わせて予想される総選挙に向け、信頼できる中立的な複数の統計機関が世論調査で明示的に、「自民党支持は即、安保法制支持か」「安保法制反対は即、戦争放棄か」「集団自衛権は米国の片務提供か双務提供がよいか」などを詳しく調査し、民意を明らかにすべきだ。そうした声を政党や米中に突きつけ、それに基づき国体そのものを変革すべき時が来た。

 

(【“声なき多数派”、安倍政権支持に傾くか?】~安保可決後の民意はどこへ 1~の続き。このシリーズ全2回)

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