[大平雅美]【なぜ通販で人はつい買ってしまうのか】~市場拡大中、6兆円規模窺う~
Japan In-depth / 2015年8月3日 11時0分
通販で一度でも買い物をしたことがあるだろうか。通販市場の拡大傾向は続いている。通販新聞社が7月に実施した「第64回通販・通教売上高ランキング調査」によると、上位300社の合計売上高(14年6月期~15年5月期)は5兆8866億円で、昨年同時期と比べて5%増で市場は拡大の傾向にある。
トップはアマゾンジャパンで8379億円(前年12.3%増)、5位まで2000億円台と好調。6位はジャパネットたかた(前年8%増)、7位ジュピターショップチャンネル(前年2.8%)10位がディノス・セシールで1173億円超えとなっている。
一方、在京キー局テレビ通販事業(原則TV通販のみの売上高だが一部ネット販売売上を含む)の2015年3月期の業績をみると売上トップはフジテレビのディノス・セシールで105億円超え(TV通販占有率9.6%/前年16.6%増)。これまでトップだった日本テレビ放送網をおさえ6年ぶりにキー局トップに立った。テレビ東京のテレビ東京ダイレクトも好調で前年比13.7%。この2局が増収だった。
好調の理由としてディノス・セシールについては、
①季節性やタイムリーな商品の提供
②美容健康器具や調理器具の新商材。定番家電や「カニ」などの食品の好調
③出荷時間の短縮(特定商品は受注後24時間以内の出荷)
④ネット連携策の強化(ネットでコンパクトにまとめた数分の動画配信)
などをあげている。
さらに通販新聞ではテレビ東京ダイレクトの好調について、BS放送との連動により視聴世帯が広がり新規顧客開拓に繋がったことや、番組の刷新、出版社との連動カタログ通販の成果などを上げている。今回減収になった3局のうち日本テレビ放送網とテレビ朝日(ロッピングライフ)は、放送時間の短縮や、番組編成の影響により視聴層が若返り平均客単価が下がった影響が考えられる。
各社の業績をみるとキー局では放送時間短縮などの影響が大きいことがわかる。では24時間いつでもショッピングが可能なジュピターショップチャンネルではどのような努力をしているのだろうか。篠原社長のコメントから探ってみる。
通販新聞のインタビューで今回の増収の理由として
「成果の源泉は、商品力、番組力、オペレーションの強化」と答えている。
特に具体的な番組力としては2つ。
①「マルチスクリーンの設置」
スタジオに大きな9つのTVモニターを組み合わせ大画面や各画面別に映像を流す
②番組の合間の番宣番組の多様と多用
何度も放送されるので次の番組や特番の紹介を飽きられないように工夫する
などの具体的な策を施した結果、特別編成番組「家電祭」では日商13億円の大記録も達成した。消費税増税の買い控えなど苦しい時に「どうすればお客さまに見て頂け、買って頂けるか」を社員皆で考え行動した結果と話している
今後は、どの通販番組もネットとの連動がかかせないものになるだろう。篠原社長は「テレビは第1チャンネル、ネットは第2チャンネル」と話していたが、ネットでのショッピングをどう工夫し魅力あるものにするか、放送と通信の融合によって開ける未来をどのようにワクワクしながら購入できる便利で有益なものにするか、さらに、多くの商品が重複するなか、他番組との差別化をどうするかがこれからの課題になりそうだ。
(参考)通販新聞サイト
http://www.tsuhanshinbun.com/
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