[林信吾]【英、医療の進歩が財政のネックに】~高度福祉国家の真実 4~
Japan In-depth / 2015年8月13日 18時0分
ただし、お金がある人は、話が別である。実は英国の医療は、NHSと、NHSに加盟していない個人経営の病院や開業医との二本立てになっている。後者はプライベートと呼ばれるが、プライベートの医療であれば、入院までに何ヶ月も待たされるようなことはない。その分、料金は高額だ。
最近では、いざという時プライベートの医療を受けるための保険もあれば、南ヨーロッパやカリブ海の病院で、より快適な入院生活を送るためのツアーまで売り出されている。「命の格差」の問題は、英国にもあるのだ。
つまり、英国を見習うべきだ、というほど単純な話にはならないのだが、日本では、少子高齢化社会の福祉を担保するためだと称して、消費税が導入されたのだが、以来20年間で、医療や社会保障は改善されるどころか、むしろ後退している。
英国ほど「高福祉・高負担」を徹底させることもできず、なおかつ年金や国保の原資がやせ細るのを放置し、道路や箱ものばかりに税金を注ぎ込み、財政を破綻に追いやった。戦後日本の政治家・官僚の責任は、まことに重いと言わねばならない。
(この記事は、
【最後は国が本当になんとかしてくれる、のか?】~福祉先進国の真実 1~
【英、無償の医療は当然の権利】~福祉先進国の真実 2~
【実は高福祉・高負担な英国】~高度福祉国家の真実 3~
の続きです。あわせてお読みください)
-
- 1
- 2
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
在宅医療は医療界のバーリトゥード…「なんでもあり」が特徴【老親・家族 在宅での看取り方】
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年6月26日 9時26分
-
逆風の英公的医療 1回の診察に5時間半 かつての「模範的制度」どこへ ロンドンの甃
産経ニュース / 2024年6月26日 7時0分
-
訪問診療は「月額5,200円」で利用可能な場合も…意外と知られていない〈在宅医療〉の真実【専門医が解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月17日 8時30分
-
岸博幸氏「高齢者の社会保険料」一律支援は限界だ 治療の費用で実感した事、インタビュー後編
東洋経済オンライン / 2024年6月5日 12時0分
-
60歳で難病「岸博幸さん」残りの人生の"優先順位" 病になって気づいた事、インタビュー前編
東洋経済オンライン / 2024年6月4日 9時30分
ランキング
-
1金正恩総書記の肖像が描かれたバッジ、党幹部らが着用…偶像化を進める狙いか
読売新聞 / 2024年6月30日 17時8分
-
2米大統領選挙撤退を否定するバイデン氏、最終判断は夫人の意向が影響か…民主党内から候補差しかえ論も
読売新聞 / 2024年6月30日 20時34分
-
3蘇州の邦人切り付け、無差別か 中国人男、社会に不満も
共同通信 / 2024年6月30日 16時21分
-
4英与党、総選挙敗北必至…経済振興・移民対策に失望感「ブレグジット果たしても良くなっていない」
読売新聞 / 2024年7月1日 7時46分
-
5中国、血を売る若者らが後絶たず 息子亡くした父の告発で発覚
共同通信 / 2024年6月30日 17時53分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください