[大原ケイ]【米大統領選、暴言トランプ旋風止まず】~真夏のホラー、まさかの大統領が生まれかねない?~
Japan In-depth / 2015年8月16日 18時0分
2. 米海軍のパイロットとしてベトナム戦争時に捕虜となり、英雄扱いのジョン・マケイン上院議員(2008年、共和党大統領候補でオバマに敗れた)をして「彼はヒーローじゃない、俺は敗者は嫌いだ)とこき下ろした。
その結果:同じく共和党の指名戦に再度名乗りを上げているリック・ペリーテキサス州知事ら、他の候補者から袋叩きに合った。(彼を批判しなかった候補者は同じく極右保守のテッド・クルーズ、スコット・ウォーカーのみ)
ここまでヒドイ罵詈雑言にもかかわらず、最初の共和党候補者によるディベートに向けて支持率が急上昇、意識調査で3%にも引っかからない候補者が多い中で、ダントツ20%以上の人気となっていた。
このことに慌てた共和党幹部は、ディベートでもまずトランプをターゲットにきつい質問を当ててきたのだが、それさえも彼の癇に障ったらしく、後日のツイートで司会を務めた女性アナウンサーを指して「彼女は小物。俺の答えに怒り狂って、目からも“あそこ”からも血が噴き出していただろう」とつぶやいたものだから、人種差別、帰還兵蔑視に、今度は女性差別発言でこれまた上を下への大騒ぎとなり、フォックスTVの番組総責任者であるロジャー・エイルスが自らトランプと話合うまでになった。
傍から見て呆れるしかないような発言続きで、どうにもこうにも「謝らない」トランプを支持しているのはズバリ、彼と同じことを感じて怒りを感じているアメリカ中の白人男性に他ならない。トランプもそのことを知りながら(人格はさておき、優秀なビジネスマンであるのだろうし、決して頭の悪い人ではないので)、そしてフォックスTVもそれを利用し、ディベートを2400万人が視聴という驚異的な数字を叩き出した。
誰がどう批判しても謝りもしなければ、支持率も下がらない、この珍獣の暴走に共和党の幹部や中道派は恐れおののいている。既にクリントン上院議員で候補がほぼ決まっている民主党から見れば、これほど面白い対岸の火事もないだろう。保守系のネットメディアは「もしかしたら、トランプはクリントン候補が共和党の予備選を引っ掻き回そうとして送り込んできた刺客ではないのか?」と半分本気で疑いだしているのも一興かな。
だがそうではない。ドナルド・トランプは、こういう偏見に凝り固まった保守派を「お茶会」という党内党で奨励し、彼らに母屋を取られそうになっているに過ぎない。そして無理矢理にトランプを大統領選から降ろそうとすれば、彼は、共和党ではなく独立候補として出馬するという懐刀をチラつかせている。そうなれば共和党が大統領選で勝てる見込みは全くなくなる。アメリカ各地でも異常気象が続き、暑い夏になっているが、共和党の人たちは、さぞ肝の冷える思いをしているだろう。
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