[安岡美佳]【猛暑を快適にする解決策は北欧にあり】~注目集めるフィンランドの循環式熱源水ネットワーク~
Japan In-depth / 2015年8月17日 18時0分
つまり単純に言うと、人が出すゴミを焼却して電気を作り、そのときに発生した熱を温水として街に流し、暖房やヒートポンプの熱源として活用する。部屋を暖めて冷たくなった水は、データセンタに送られ、サーバ冷却水などに活用される。街が活動するために必要なエネルギーを、街で循環させることで、よりエネルギー効率がよく、自然に優しい方法でまとめて供給することを可能にしている。
フィンランドでは、暖房・冷房パイプラインの活用は、2000年頃から急速に発展してきた。そして、前述のように、下水処理熱/水、地熱、太陽光、ヒートポンプなど複数の熱源を活用、海水の冷却利用(冬場)、風力発電などが組み合わされて熱源水ネットワークが構築されているということだ。特に新規都市開発エリアでは、この傾向が顕著に見られているという。
地域冷房の利用は、まだ限られていて、世界でパリ、ストックホルム、そして、フィンランドのヘルシンキがトップ3。ヘルシンキで地域冷房が導入されたのは、1998年だけれども、この15年で導入が拡大されている地域冷房の先端エリアだ。フィンランド国内では、ヘルシンキ(1998年),トゥルク(2000),Lahti(2000),Vierumaki(2002),タンペレ(2012),ポリ(2012),エスポー(2013)の導入事例がある。どれも、単体での活用ではなくて、複数温熱源や冷熱源を活用した循環式の熱源水ネットワークが構築されているという点で、もっと注目されてもいい。
最先端の試みで、環境により優しく、都市生活も快適にする地域冷房とそのエネルギーネットワーク。近未来的な試みに思えるけれど、フィンランドでは、実際に活用され、さらなる展開が期待されている構想だ。早朝にもかかわらず、室外機からの生暖かい風が、周辺エリアの温度を上昇させ、不自然かつ不快な暖かさに変えている東京の街を、まだ猛暑になる前の数週間前に歩きながら考えていた。都市生活において毎日の生活を快適にしつつも、自然に優しくなるために、私たちができることは、まだまだたくさんあるはずだ。
(*注1)http://www.ecool.jp/world/2010/10/danmark-1026.html など。
(*注2)単純に言うと、地域や建物に導入されて地域に一括して熱を供給する仕組みだ。セントラルヒーティングとも呼ばれる。
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