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[林信吾]【ギリシャ首相辞任、狙いは総選挙で政権基盤固め】~構造的財政危機、対岸の火事ではない~

Japan In-depth / 2015年8月24日 18時0分

メルケル首相自身、「とりたてて驚くべき事態ではない」とのコメントを、すでに発表したほどだ。とどのつまりドイツは、ギリシャでどのような政権ができようとも、ユーロから追い出されて国家経済が崩壊することを甘受できない以上、債務問題の主導権はEUにあり、と読み切っているのだ。カネを借りる立場は、弱いものなのである。

ただ、それはそれとして、今次EUからの「つなぎ融資」でひとまず危機が回避されたと言っても、どこかの国でよく聞く「問題の先送り」に過ぎず、「通貨が統一されているにも関わらず、財政は各国政府に委ねられている」という、ユーロの構造的な問題が解決されるには、まだ時間がかかるだろう。

むしろ、私がすでに述べた、ギリシャを「国ごと銀行管理」にすることが、財政統合、さらには政治統合への第一歩となるのではないか。言わば踏み台にされるギリシャの年金生活者などは、たまったものではない、と考えるだろうが、長い目で見れば、真面目な納税者が損をしない体制に近づくのである。

それだけの構想力が、現在のEUを牽引する政治家たちにあるかどうか。一方、ギリシャとは桁違いの負債を抱えているどこかの国の政治家には、解決策を期待できるのか。まだまだ、目が離せない。

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