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[神津多可思]【世界経済、必要なのは2つの“リバランス”】~同時株安から抜け出すために~

Japan In-depth / 2015年8月27日 11時0分

実際、これまでの先進国での金融緩和の影響は、新興国への資本流入という形で成長を底上げしてきた。しかし、米国でいよいよゼロ金利解除かという事態になると、米国から流れ込んできた資金も続かなくなる。中国でも昨年から主として海外からの負債を減らす形で資本の流出が起きていた。ドル金利が高くなるなら今の内に返しておこうというような話だろう。その過程で人民元安の力が生まれる。今回の基準相場設定のルール変更によって、そうした外国為替市場での需給関係がよりストレートに実際の人民元レートに反映されるようになった。

米国がゼロ金利を解除するのであれば、そのほうが長期的にみて米国経済の成長率がより高くなると判断されるからだろう。そのこと自体は世界経済にもプラスだ。むしろ、金融面と実体面の新しいバランスの実現が遅れれば遅れるほど、将来解消しなくてはいけない金融面での過剰が累積していく。長期的にみればとても採算が採れないような案件にどんどん資金が注ぎ込まれ、不良債権が増えていくというようなイメージだ。それを避けるためのリバランスもまたどうしても必要だと思う。

以上の2つのリバランスは、基本的に世界経済の景気後退をもたらすものではなく、むしろ持続的な成長に資するものと考えられる。国際金融市場がそうした認識に変わりつつあるのだとすれば、リバランスの過程を円滑にしようとする各国当局の対応は肯定的に評価されるだろうが、その過程を阻害するような反応はむしろ否定的に評価される可能性もある。それは今回の動揺の発信源中国でもそうであるし、日銀の追加緩和が騒がれる日本でもそうだ。世界経済の新しいバランスに向けての途は、決して平坦ではない。

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