[Japan In-depth 編集部]【逃げ出す街から逃げ込める街へ】~六本木ヒルズで大規模防災訓練~
Japan In-depth / 2015年9月2日 16時40分
9月1日防災の日に六本木ヒルズで行われた森ビル株式会社主催の防災訓練の様子である。訓練には全員お揃いの作業服とヘルメットを着用した森ビル株式会社の社員約500名が参加した。それぞれ7個の班に分かれて整列し訓練の挨拶が始まった。
初めの挨拶では森ビル副社長、震災対策本部長である森浩生氏が今回の森ビルの防災訓練のコンセプトである、「逃げ出す街から逃げ込める街へ」を実践するためにまずは社員の自助を確立し、その後共助を行うことが大切であると述べた。また、来る南海トラフ巨大地震に備えるために2011年3月11日に起きた東日本大震災を教訓として訓練を行いまた、この訓練を通して危機感を持つことが必要だと述べた。
訓練は7つの項目に分かれ、それをそれぞれの班が順に回っていく方法で行われた。AEDの訓練では、いかに素早く要救助者に対して救命活動を行うことが重要かが説明された。救命活動には大きく分けて3種類があり、心配蘇生、AED、気道確保これら3つを素早く行うことによって人命の救助が高い確立で成功するという。東京都では救急車が電話をしてから現場に到着するまで約6分から10分掛かると言われており、AEDを正しく使用して救命活動を行うだけでその6分、10分間の生存率がかなり高くなることが強調された。
次に訓練会場の中でも一際大きく目立っていたオレンジ色の「煙ハウス」と呼ばれる煙の中を進む訓練を終えた社員は「煙が想像以上で前が全く見えなかった。相当姿勢を低くしないと何も見えなかった。」など、煙の恐怖を語っていた。
救急搬送の訓練場所ではよく知られている担架を使用した搬送方法やビルの中を想定した救命器具を見ることもできた。イーバックチェアと呼ばれる器具は、要救助者を一人の補助だけで階段を使いながら救助できるもので、実際に乗った人は「思ったより恐怖感がなかった。」と述べるなど、こうした器具の必要性が広く認識された。
又、施設内には、約10万食の非常食が備蓄されておりそのほかにも紙オムツ、懐中電灯等が用意されていて3・11以降にはそれまでの毛布からより軽量でかさばらないアルミ防災ブランケットに変えるなどの対策を行っている。また、賞味期限の近い備品、食料に関してはそのほかに防災訓練の際に参加者におみやげとして持ち帰ってもらったりNPO団体に寄付されたりしており備品保全も図られていた。
防災に対する意識は3.11直後は高かったが、月日が経つにつれその意識は薄れていってしまう。同じ悲劇を繰り返さないよう防災意識を高めるために、こうした訓練は必要だとの思いを新たにした。
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