[為末大学]【「失敗から学ぶ」ことの“罠”】~時には必要なふてぶてしさ~
Japan In-depth / 2015年9月3日 11時0分
失敗から学ぶということは大切なことで、その姿勢があるかどうかで随分と成長の度合いが違うと思う。良い選手は必ず失敗または敗北を分析し、何が問題だったかを探し出し、自分なりに解決方法を見つけている。それは大前提として、もう一方で負けたんだから必ず何か問題があったんだろうと考えすぎてドツボにはまることがある。
例えばスタートして一歩目から頭を上げてゴールを見ながら走っていた選手が、もっと地面をしっかり押したいと考え、8歩目あたりまで頭を下げてスタートダッシュをするやり方に変える。ある程度練習してきていざ本番になって走ってみたら以前よりもタイムが悪い。選手は慌てて元に戻す。
新しい技術というのは馴染むまでに時間がかかり、それまでの時間ではパフォーマンスが落ちることがある。その落ち込みが技術が根本的に合わないから起きているのか、それともただ馴染んでいないから起きているのかはわからないが、あまりに神経質になりすぎると、馴染む前に元に戻してしまうことになる。不振を無視できないと根本的な技術変更はできない。
また、人間には揺らぎがあって、いい時も悪い時もある。そしてその理由を考えても、今日はそんな日だったというぐらいの意味しかない時もある(という思い込みの可能性もあるが)。ところが真面目に失敗の原因を考えようとしている人は、必ず何か理由があるはずだというところからスタートしてしまい、何か問題を見つけずにはいられなくなる。思い込めば問題はいくらでも見つけられるので、本当の原因かどうかわからない問題にアプローチしてしまい、何かを変えて余計にスランプにはまってしまうことがある。
失敗から学ぶことは大切だろうと思う。けれどもその失敗は一時的なただの揺らぎなのか、根本的に何かがずれているのかをしっかりと見極めることがまず必要だろうと思う。ふてぶてしい選手が崩れにくいのは、失敗を無視するふてぶてしさを持っているからで、真面目な選手ほど学ぼうとしすぎて、誤学習を起こしてしまったりする。
雨が降れば傘をささなければならないが、にわか雨を豪雨だと勘違いして登り道を変える必要はない。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
高速の超大渋滞… 結局「左・中・右」どの車線が早い? 長く続く激論…答えは? NEXCOに聞いてみた
くるまのニュース / 2024年5月3日 9時10分
-
小林製薬「紅麹問題」結局、何がマズかったのか? "添加物のプロ"が解説「根本原因」はここにある
東洋経済オンライン / 2024年5月2日 13時1分
-
面接で前職を辞めた理由について「パワハラによるうつ病」→不採用 「上司も職場も素晴らしく、自分で自分を追い込んだ」→採用 元市職員の転職エピソードが話題
まいどなニュース / 2024年4月26日 7時10分
-
名経営者が「利益に直結しない」話をしたがる事情 起業界隈にあふれるポジショントークを疑え
東洋経済オンライン / 2024年4月16日 17時0分
-
「先の見えない仕事」挫折しないための2つの鉄則 手応えのない時ほど、ブレずに着実に歩を進める
東洋経済オンライン / 2024年4月12日 18時0分
ランキング
-
1「幼少期から酷い言葉を投げられることもあった」安達祐実(42)が週刊文春だけに語った実母への“絶縁宣言”
文春オンライン / 2024年5月7日 17時0分
-
2プベルル酸上回る量の物質を検出 紅こうじ、被害主因の特定難航か
共同通信 / 2024年5月7日 22時10分
-
3オリックス元選手を逮捕、兵庫 高齢女性バッグひったくった疑い
共同通信 / 2024年5月7日 19時37分
-
4逮捕の内縁夫、殺害された夫婦を「パパ、ママ」信頼寄せられる 那須2遺体、捜査は新局面
産経ニュース / 2024年5月7日 20時46分
-
5後半国会、野党攻勢強める=衆院政倫審、8日にも申し立て
時事通信 / 2024年5月7日 18時6分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください