【「維新の党」分裂騒動、背景に“大阪W選”】~野党再編に国民の審判、いかに~
Japan In-depth / 2015年9月7日 23時0分
8月下旬、突如巻き起こった「維新の党」分裂騒動。これを読み解くキーワードは2つある。
まず1つ目は「大阪W選」だ。府知事選の告示日は11月5日、市長選は同月8日で、投開票日は同月22日と、日程が決まっている。橋下徹・大阪市長は5月の住民投票で大阪都構想が廃案になったのを受け、政界引退を表明している。在阪ジャーナリストは語る。
「今回の分裂騒動は、間違いなくW選を勝ち抜くためだけの方法論。現職の松井知事は再選を狙って出馬する予定ですが、対抗馬に著名人の名前も浮上しており、厳しい戦いになることは必至。また、橋下氏は政界引退を表明した通り、市長選には出馬しない。“橋下人気”に頼っていただけに、何らかの起爆剤が必要な状況だったのです」
そんな時、もう一つのキーワードに「そもそも」があった。維新には、“そもそも”分裂気運があった。春の統一地方選後、「火中の栗の拾う」と述べ、新代表に就任した松野頼久氏は、元々野党再編論者で、ともすれば自民と組んで新たなスキーム作りを考えた“大阪組”とは考え方が異なる。民主などと合流すれば、選挙基盤が橋下氏の人気だけに頼っていた大阪組にとって、死活問題になるからだ。次期府知事選での打開策を探る松井氏と、永田町で埋没して次期衆院選で全滅の恐れさえある国会議員の思惑が一致しての分裂劇だったとの見方だ。
とはいえ、本来は維新の党の代表選を経て、“不満分子”は党を割って出てもらうという形を想定していたと語るのは、維新の党関係者だ。しかし、それでは大阪組が不利な立場となる。ならば、先手を打って分裂した方が有利だとの判断が働き、今回の流れが一気に出来たのだと、前出のジャーナリストは解説する。
党利党略個利個略ーー。そんな古臭い言葉が浮かび上がってくる今回の騒動。どのような形で野党再編がなされ、どちらの勢力が国民に支持されるのか。分裂の審判はその時、なされるのだろう。
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