[岩田太郎]【加害を続け己の存在証明試みる「元少年A」】~理不尽司法の限界 1~
Japan In-depth / 2015年9月12日 7時0分
だが、どれだけ注目されても、幼少時に親に認められず、ぽっかり空いた心のブラックホールは埋められない。土師君殺人犯は小学3年生の作文で、「お母さんはえんまの大王でも手がだせない、まかいの大ま王です」と書いている。
今回のホームページでは、1981年6月にフランスでオランダ人女子大生のルネ・ハルテベルトさん(享年25)を殺害・死姦の上、性的部分を人肉食した佐川一政元容疑者(66)と、自己の犯罪の共通性に言及しながら、佐川に優しかった佐川の母親へのあこがれを綴り、「この本の中での佐川氏の母親についての記述には幾度も涙を誘われた」と述べている。
土師君殺人犯について、裁判所の判決文は「愛着障害」を疑い、「母は生後10か月で離乳を強行し、1歳までの母子一体の関係の時期が、少年に最低限の満足を与えていなかった」可能性を指摘。母が排尿、排便、食事、着替え、玩具の片付けに至るまで、躾には極めて厳しく、スパルタ教育を施していたことが、後に土師君殺人犯の心を歪ませた疑いがあるとしていた。
親に対する憎悪は、自分より弱い者の殺人などになって表われ、自己の存立危機の叫びは、加害の続行に形を変える。被害者にとっては理不尽だが、法では減らすことができない。法の外の親子関係の問題であるからだ。次回は、土師君殺人犯に類似する、親に存在の否定された殺人犯の家庭環境を分析し、どのように親への復讐感情が弱者の殺人に転じるパターンを防げるかを考える。
写真引用:everystockphoto「somebody save me」
(本シリーズ全3回。
【親の愛情に飢えた殺人者を生まぬ為に必要な信頼】~理不尽司法の限界 2~
【「公判が維持できないから軽い罪で起訴」は検察のウソ】~理不尽司法の限界 3~
に続く)
-
- 1
- 2
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
「親の愛情不足」の中で育った子に見えがちな特徴【再配信】 安全基地になれない親は「精神的に未熟」
東洋経済オンライン / 2024年11月12日 8時0分
-
「中年男性は怖い…」正当化される差別、支援対象から除外されてしまいがちな弱者男性の苦悩とは?
集英社オンライン / 2024年11月11日 17時0分
-
「私を死刑に…」と望むも無期懲役に。23歳強盗犯が涙で語った後悔「闇バイトするとこうなる、と伝えたい」
日刊SPA! / 2024年11月7日 15時49分
-
意識不明の11歳長男死亡、横浜 長女も殺害容疑で母親捜査
共同通信 / 2024年11月7日 11時59分
-
「無敵の人」はなぜ生まれるのか?私たちがあえて見ないようにしている「助けたい姿をしていない弱者」という存在
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月6日 10時15分
ランキング
-
1党員不適切登録の自民・田畑裕明衆院議員、社員が架空党員にされたか尋ねた社長に「党費はあなたが払ったことにして」
読売新聞 / 2024年11月24日 10時57分
-
2セブン&アイ「9兆円MBO案に潜む“危険な賭け”」。非上場で外資による買収は回避できるけど
日刊SPA! / 2024年11月24日 8時52分
-
3「“確率”の問題は“数学I”の範囲外」 受験生の指摘で発覚 島根県立大学の入試で出題ミス 島根県出雲市
日本海テレビ / 2024年11月24日 11時51分
-
4所持金616円でタクシーに約3時間乗車 ゴールは警察署 自称作家の女 詐欺の疑いで逮捕
STVニュース北海道 / 2024年11月24日 9時49分
-
5車動き出し下敷き、71歳妻死亡 群馬の温泉旅館駐車場
共同通信 / 2024年11月24日 1時16分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください