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[岩田太郎]【「公判が維持できないから軽い罪で起訴」は検察のウソ】~理不尽司法の限界 3~

Japan In-depth / 2015年9月22日 18時0分

また、大した証拠もなく、有罪が軽く決まる痴漢冤罪や家庭内暴力(DV)冤罪を、危険運転致死傷罪の使い方や少年犯罪への刑事処分適用と比べてみるとよい。その気になれば証言だけで公判を維持して、有罪に持ち込めるのである。

寝屋川市の中学1年生、平田奈津美さん(享年13)と星野凌斗君(享年12)殺人事件で完全黙秘を続ける山田浩二容疑者(45)については、山田容疑者による証拠隠滅のため物証が乏しく、殺意をも証明して殺人罪で起訴することが困難視されている。人を傷つけることが目的で、その結果死なせてしまった場合の「暴行致死」にしか問えないのではないか、という懸念が高まっている。

また、5月11日に大阪市の心斎橋で、飲酒して一方通行の道路を逆走、アクセルとブレーキを踏み間違えた白坂愛里被告(25)運転の車にはねられ亡くなった河本恵果さん(享年24)の事件については、大阪府警が白坂被告を過失致死傷などの容疑で逮捕し、いったんは罰則の重い危険運転致死傷に切り替えて送検した。だが、検察は「正常な運転が困難な状態と立証するには、状況証拠が乏しい」として過失致死傷罪で起訴した。無念の遺族は、危険運転致死傷罪に訴因変更するよう訴え、すでに7万筆以上の署名を集めたという。

安倍晋三政権は、「法律論にとらわれず」というスタンスで、憲法の解釈を変えてしまった。国の最高法である憲法の解釈がこれほど簡単に変えられるなら、被害者や遺族を守るために立法された法律の解釈が変更できないわけがない。法解釈が「進化」し、柔軟な運用が許されるのが、法治主義の新しい姿なのだ。

安倍政権は、パンドラの箱を開けた。解釈改憲は国論を割っているが、山田容疑者を殺人の罪に問い、白坂被告を危険運転致死傷罪で裁くことについては、多くの国民が一致できる。警察・検察・裁判所は欧米からの外圧ではなく、内圧に敏感になり、「法律論にとらわれず」殺人罪や危険運転致死傷罪の適用に、もっと熱心になるべきだ。

(この記事は
【加害を続け己の存在証明試みる「元少年A」】~理不尽司法の限界 1~
【親の愛情に飢えた殺人者を生まぬ為に必要な信頼】~理不尽司法の限界 2~
の続きです。全3回)

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