[相川俊英]【埼玉・所沢市長選、動くか子育て世代】~30代投票率は20%台~
Japan In-depth / 2015年10月14日 21時0分
地方選挙の低投票率が全国的な傾向となっているが、なかでも顕著なのが東京や埼玉、千葉といった大都市部の自治体だ。首長選で2割台、議員選でも3割台といった低投票率がいまや珍しくなくなっている。外から転居してきた若い住民が多く、仕事や生活に追われて地域への関心やつながりを持てずにいるのが要因だ。地元意識のないまま生活し、そのまま他所に転居していくという人も少なくない。税金を払っていながらその使途に関して無関心・無頓着でいるのである。
こうした地域では特定の住民が首長や地方議員を選ぶことになり、行政の施策も一票を行使する人たちの声に合わせたものとなる。地域で暮らすそれ以外のいわゆる新住民のニーズは長らく、後回しにされてきたのである。本来、地域の課題として税金を投じて解決策を講じるべきものもなおざりにされていた。その代表事例が、子育て支援策である。
さすがに少子化対策が最重要課題となった今は、多くの自治体で保育所整備などが取り組まれるようになった。保育所不足で入所できない子どもがたくさんいることから、重い腰を上げたのである。しかし、なかには論議を呼んでいる事例もある。
例えば、「育休退園」制度を運用している埼玉県所沢市だ。母親が育児休業を取得したら、2歳以下の子どもは保育園から原則退園というもので、母親らが市に対し、制度の運用差し止めと退園取り消しを求める行政訴訟などを起こしている。所沢市ではまた、小中学校へのエアコン設置を中止した市に対して住民が反発し、住民投票が実施された(今年2月・投票率31・54%)。結果は設置賛成が多数となった。
そんな所沢市で現在、18日投開票の市長選が展開されている。立候補者は、現職と元衆院議員、元市議、それに元中学校教諭の4人。市政の継続か刷新かを問う激しい選挙戦が繰り広げられているが、最大のポイントは投票率だ。ベッドタウンである所沢市の市長選はいつも低投票率におわる。三つ巴の激戦となった前回(2011年)は34・68%で、新人が現職を1626票差で打ち破った。
ちなみに新人5人の争いとなった前々回(2007年)は30・70%。所沢市では市長選そのものは激戦になるが、投票率はいつもさっぱりなのだ。1983年(51・61%)以降、投票率が5割を上回った市長選はない。
前回(2011年)投票率(34・68%)の年代別内訳をみると、偏りが鮮明になっている。子育て世代の30から34歳が21・03%、35から39歳が26・16%なのに対し、60歳代は48・29%、70歳以上は49・06%と倍以上となっている。
選挙は、税金の使い道に関する自らの考えをアピールできる大事な機会である。子育てや教育環境のあり方で揺れ続けている所沢市で、これまで投票権を行使してこなかった市民が今回、どう行動するか注視したい。
撮影: 相川俊英 ©相川俊英
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