1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. 国際総合

[林信吾]【ユダヤ人問題は“いじめの構造”】~ヨーロッパの移民・難民事情 その3~

Japan In-depth / 2015年10月16日 11時0分

もちろん、全てのユダヤ人が金融業で富を築いたわけではなくて、大半は農民や職人、小商人などであったのだが、一般論として、金融業界で台頭し「成功した、富裕なユダヤ人」が増えたことが、彼らに対する差別感情を助長させるというパラドックスがあったことは否定できない。

さらに度し難いのは、中世ヨーロッパで確立された絶対王政の中で、具体的にはロシアやスペインだが、しばしば(多くの場合、不作や重税のせいで)庶民の生活が困窮するたびに、ユダヤ人を迫害することで不満のはけ口とする政策がとられたことだ。今でも、日本の学校や職場で時折見られる現象だが、誰か一人を「標的」にして、仲間はずれにしたり、いじめたりすることで、団結心を保つというやり方である。

ローマ帝国においては、皇帝の権威や神格化を認めないキリスト教徒は、最初のうち迫害の対象になっていた。有名なコロッセオ(円形競技場)で、ライオンと戦わせる見世物にされたりしたのである。そのキリスト教会が権威を得ると、今度はユダヤ人迫害のお先棒を担いだり、時には迫害に大義名分を与えたりすることまでした。単純な構図ではあるが、根の深い問題である。

(この記事は
【“移民”なくしてロンドンなし】~ヨーロッパの移民・難民事情 その1~
【スポーツと政治と移民問題】~ヨーロッパの移民・難民事情 その2~
のつづきです)

(写真引用:The Israel Defense Forces、Source:Flicker、Author:Israel Defense Forces)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください