[嶌信彦]【高揚感ない安倍新組閣】~オリンピック後の日本の展望みえず~
Japan In-depth / 2015年10月18日 11時0分
安倍首相は、人事も小幅にとどめ重要閣僚は留任させて安全を期した。党人事は殆んど全員留任である。新人事に期待していた閣僚候補たちだけでなく、国民も変わり映えしない組閣に興奮することはなかった。人事はスキャンダルなどを起こすと内閣の命運にも関わってくるので安全な構えの方が無難だが、党内に不満の種を残すだけで、国民にも「自民党に人材はいないのか」という思いをもたらしたのではないか。
二階総務会長はユネスコの世界記憶遺産に中国が申請した「南京大虐殺の文書」の登録を認めたことについて「中国の一方的な主張にお墨付きを与えかねない」と述べ、日本政府は明解に反論し、ユネスコ絵の協力も考え直すべきだと主張した。また石破茂・地方創始相は閣内に留まったが、石破派を結成。ともに安倍内閣の波乱要因になりかねない動きを起こしている。
第二次安倍内閣は、安倍首相、菅官房長官の“一極支配”で党内を沈黙させてきたが、終盤は数の力で押しまくる動きが目立ち、国民各層(若者、主婦層、シニア世代など)に反発心を植え付けた。政権側は「時間が経てば、憲法・安保問題だけでなく、来年の消費税アップ、マイナンバー制の導入、TPP問題の批准、沖縄問題、さっぱり展望がみえない拉致問題、オリンピックを巡るゴタゴタ騒ぎ、さらに国際問題ではウマがあったと言われるアボット豪首相の退陣、期待をしていたプーチン大統領の北方領土に対する強硬姿勢への変化、相性が良いといわれたトルコのエルドアン首相の国内の不人気など国際的人間関係も悪化してきたようにもみえる。
安保法制が成立するまで、安倍首相と周辺は全力で駆けてきたが、第三次内閣になって懸念が片付きホッとしているのか、何かかつての勢いや熱さが減少したようにみえるのだ。今後の内閣支持率の推移や来年の参院選の結果次第では、総裁任期はまた3年確保したものの、“一寸先は闇”という政局の格言を忘れてはなるまい。
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