批判噴出、潘基文国連事務総長~日本を標的にした目に余る言動~
Japan In-depth / 2015年10月28日 0時30分
最近の日本での潘基文国連事務総長への批判の噴出をみていると、「だから言ったではないか」という皮肉な思いを禁じえない。私は潘氏が同事務総長の有力候補となった9年前、彼の不適格性を多数、具体的にあげて、「日本はたとえ世界でただ一国となっても強くその任命に反対すべきだ」と主張した。しかし日本の外務省は早々と同意を示し、祝いの言葉まで送っていた。だが現状をみると、「それみたことか」と感じるのである。
10月26日の読売新聞朝刊も「潘総長 薄い存在感」という見出しの大きな記事を載せていた。「指導力不足 側近嘆く」という小見出しもあった。要するに潘基文という韓国人元外交官が国連事務総長という職務にいかに不適格、能力不足かを伝える長文の記事だった。
潘氏が能力不足だけならまだよいが、日本に対して不公正な非難の言動をとる点がとくに有害である。慰安婦問題など一連の歴史認識案件での専横な日本批判、反日が主題の中国の「抗日戦争勝利70年記念」軍事パレードへの出席など、潘総長の言動は最近だけをみても国連の中立性を明らかに逸脱している。とくに日本を標的とした一方的な言動が顕著なのだ。
私は2006年10月、潘氏が国連事務総長の最有力候補となったとき、日本政府はその人事に正面から反対すべきだという主張を発表した。私自身のブログ「ステージ風発」などで論文として公表した。日本国内では当時の論壇でほぼ唯一といえる反対論だった。
私は反対の理由として、韓国がそもそも日本領土の竹島を軍事占領する反日志向の強い国家であり、その国の外交官が国連でも母国の政治心情を表すのは不可避であることや、韓国は日本の国連安保理常任理事国入りにも激しく反対しており、そんな国の代表に国連事務要職の実権を与えること自体が日本を不利にすること、などをあげた。韓国人が官民を問わず、国際的な場では日本に対してなにを述べるかを私自身の長年の体験で知っていたことも大きかった。
そのうえに韓国は分断国家であり、北朝鮮との戦争状態は完全には終わっていない。しかも韓国はアメリカの軍事同盟相手であり、過去の国連事務総長がみな中立や非同盟の国の出身だったのとは異端である。ワシントンではそんな諸点も指摘され、潘氏の不適格性が語られていたのだ。私はそうした諸点をも踏まえ、日本政府がこの人事には絶対反対を貫くことを主張した。
だが日本の外務省は逆の動きをとった。当時の麻生太郎外務大臣はこの種の問題では非官僚的な思考の持ち主だろうと期待したが、むなしかった。早々と賛意を表し、やがて潘氏の人事への祝辞まで送ったのだった。私としてはいままた「日本外交よ、冷徹に」と述べたいところである。
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