[林信吾]【英語も実は「移民」がもたらした】~ヨーロッパの移民・難民事情 その6~
Japan In-depth / 2015年11月5日 19時0分
ちなみに現代英語でも牛はCowで牛肉はBeefであることはご存じだろう。
では、どうして牛の肉Cow's meatと言わないか、考えたことがおありだろうか。
正解は、牛を飼うのはサクソン系の農民で、その肉を食べるのはノルマン系の支配階級だったからである。Beefはフランス語起源なのだ。某英文学者に言わせると、「わが家では私がサクソン系で妻がノルマン系」だそうだが、それで幸せなら、第三者としてはノーコメントとさせていただく。
日本語で言う「標準語」とは、東京・山の手の中流家庭で話される言葉が基礎になっていると聞く。現代イタリア語は、フィレンツェ方言を基礎として成立した。スペイン語はもう少し複雑だが、それでも一応は、マドリードを中心とした地域で話されるカスティージャ語が標準スペイン語と位置づけられている。
しかし英語の場合は、海を越えてやって来た征服者が持ち込んだ言葉が、時間をかけてスタンダードになって行き、現在の(具体的には、BBCのアナウンサーが話すような)標準イギリス英語が成立したというわけだ。
このイギリス英語を、イギリス人はわざわざ「キングス・イングリッシュ」と称するが、案外これには皮肉が込められているのではないだろうか。
(こちらはシリーズです。以下の記事も合わせてお読みください。
[林信吾]【“移民”なくしてロンドンなし】~ヨーロッパの移民・難民事情 その1~
[林信吾]【スポーツと政治と移民問題】~ヨーロッパの移民・難民事情 その2~
[林信吾]【ユダヤ人問題は“いじめの構造”】~ヨーロッパの移民・難民事情 その3~
[林信吾]【ロンドンのJJエリアを知っていますか?】~ヨーロッパの移民・難民事情 その4~
[林信吾]【英国と中東諸国との間の「歴史問題」】~ヨーロッパの移民・難民事情 その5~
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