[細川珠生]【いじめ問題を考える】~子供に“生き抜く力”を~
Japan In-depth / 2015年11月7日 11時29分
Japan In-depth安倍宏行編集長といじめ問題について考える。
文科省が毎年行っている問題行動調査の中で、いじめの認知件数が再調査となり、今回その結果が出た。調査結果は既に公表されていたが、いじめはなかったと報告を受けていた岩手県矢巾町で中学二年生の男子生徒が7月にいじめを苦にして自殺し、再調査となった。全国で再度調査を行った結果、小・中・高・特別支援学級合わせて昨年度から2千件以上増え、18万8,057件のいじめがあったことが分かった。
まず細川氏はこの結果を受けて、「結果の信ぴょう性をちょっと疑っている。」と述べ、その理由について、年齢が高くなるほどいじめは発見しにくくなることを挙げた。いじめというと中学生に多いというイメージを持つ人が多いが、調査結果では中学校では5万2969件と報告されたのに対し、小学校では12万2721と小学校が2倍以上。しかし、これはあくまでも学校の認知件数だ。
細川氏は、「中学になると、見えないところでいじめが行われている。たとえばネット、LINEなどが主流になり、学校も親もなかなか気付かない。実際には(中学のいじめの数は)倍くらいはあるのかなと思う。」と話した。また、小学校と中学校の教育現場の違いにも言及し、「小学校は家庭訪問もあるし、家庭環境に踏み込んで先生が子供を見ていく。そういう意味では発見もしやすい。」と述べ、「ここにいじめ対策をとる大きなポイントがあるのではないか。」と自らの見解を述べた。
では、どのような対策をとっていけばいいのか。細川氏は、「子供の世界と大人の世界が隔離されている。家庭の中での子供の様子を親がきちっと見て、何かあったかと察することが重要だと思うが、それが希薄になっている。」と問題点を指摘した。人間関係が希薄になっている背景には、広場など子供同士で遊ぶ場が減っていることや、塾通いが増えていて子供自身が忙しくなっていること、また、働く母親が増え、友人宅に招かれる機会が減っていること等が挙げられる。子供は、携帯やゲーム等で余暇を過ごすようになり、友達と遊ぶのが面倒に感じるようになる。細川氏は、「人との関わりの中で学ぶことが身につかなくなる。」と危機感を示した。安倍編集長も、「ただでさえ子供も減っている。兄弟もいない。人と触れ合う機会が減ってしまう」と同意した。
いじめの中身は、冷やかしやからかいが6割、暴力が2割、無視や仲間外れ2割という結果が出ている。細川氏は、いじめはやられた方がそう思ったらいじめだということを前提にしたうえで、「大人になってもいじめはある。負けたらめげてしまう、何かをやられたらやってられないということじゃだめだ。」と述べ、子供のうちから生き抜く力を身につけさせることが大切だ、との考えを示した。
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