[安倍宏行]【「動物介在教育」が子供たちに与えるもの】~立教女学院小学校の取組み~
Japan In-depth / 2015年11月9日 19時0分
Animal Assisted Education (アニマル・アシステッド・エデュケーション)と言う言葉を聞いたことがあるだろうか。「動物介在教育」と訳される。一言で言えば動物を介在させた教育全般を言う。自分が生きていくためには他者の力が必要であることに気づいてもらい、他者と共存しながら生きてゆくことができる子どもを育てることを目的としている。
この「動物介在教育」をもう13年も実践している学校がある。東京にある立教女学院小学校がそれである。その普及に尽力してきた吉田太郎教頭は語る。「13年前、自分の居場所が見つけられず、不登校となり引きこもりとなった児童がいました。その子は犬との触れ合いを通して励まされ、彼女が少しずつ癒される過程を目の当たりにしました。」これが「動物介在教育」が始まるきっかけとなったのだ。
最初、バディ一という名前の犬1頭で始まった学校犬は、2009年にバディの子供のリンクが、2012年からは東日本大震災後、福島県の動物シェルターから引き取った2頭、ウィルとブレスが加わった。「ウィルという名前に福島のことを忘れない」というメッセージを込めたという。その後2015年にバディが息を引き取り、現在は3頭となっている。
学校犬の世話をするのは、「バディウォーカー」と呼ばれる小学校6年生。朝8時に登校した彼女らは6~7人1グループとなり、まずは水や餌やり。午前中の休み時間に散歩。放課後に2回目の散歩と部屋の掃除を行う、と結構忙しいが、6年生の3分の2の子供たちが手を上げるという。
犬と散歩をしている生徒たちに話を聞くと、子供たちは「(生き物の命は)自分たちと同じ命なんだと気づかされた!」「いやなことあっても癒されて元気になる!」「今後自分たちも(被災犬のような)可哀想な境遇の動物たちを助けたい」と口々に語った。
9日、同小学校は、殺処分ゼロと絶滅危惧種の保護に関する啓発活動を行っている一般財団法人クリステル・ヴィ・アンサンブルの滝川クリステル代表理事を招き講演会を開催、父兄ら400人超が集まった。滝川氏は「動物介在教育は以前から教育現場で取り入れたらいいのではないかと思っていたが、今回こちらで実践していることを知り、大変興味を持った。動物との“共生”の大切さは、小さいころから肌で感じることが一番だ。生き物の体温や感情や行動を普段から知ることで、虐待などは防げるのではないか。」と述べた。
また滝川氏は、最近、学校内で、生き物を飼うことが少なくなっていることを上げ、「『動物介在教育』のような取り組みもほとんど広まっていない。命の大切さ、生き物と共生する大切さを、もっと多くの教育者や保護者の皆さんに知ってもらうことが必要だ。」と述べた。
*文中写真/一般財団法人クリステル・ヴィ・アンサンブルの滝川クリステル代表理事©Japan In-depth編集部
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
飼育放棄された2歳ポメラニアン お散歩もトイレも苦手だけど…十八番は後ろ足立ち 甘えん坊ポーズで幸せをつかんだよ
まいどなニュース / 2024年3月28日 15時30分
-
病院勤務犬、看取り犬、盲導犬…“癒し”以上に“救い”を与える犬たち「人間との関係ではできないことを可能にする」
ORICON NEWS / 2024年3月25日 7時40分
-
午後3時35分、供血犬シロの心臓は鼓動を止めた 動物病院の地下室から京都の美容師夫妻へ みんなの愛を一身に懸命に生きた 「たくさんの動物が救われた」
まいどなニュース / 2024年3月16日 13時0分
-
動物福祉を推進するために必要なことは《共感力》 環境省動物愛護管理室・立田室長へのインタビューを掲載
Digital PR Platform / 2024年3月7日 10時0分
-
横峯さくら、新たに個人事務所『HERITAGE合同会社』 開設。ゴルファーとして、母親として、自らのプレーで社会の変革を後押しすることを目指します。
PR TIMES / 2024年3月6日 12時45分
ランキング
-
1死亡男性、降り口近くで倒れる カメラ撮影 エスカレーター事故
毎日新聞 / 2024年3月28日 21時21分
-
2ストッキング「アツギ」公式Xまたまた炎上で謝罪 専門家が指摘した「いいね」NG
東スポWEB / 2024年3月28日 11時32分
-
3岸田首相「デフレ完全脱却の歴史的チャンス」…中小賃上げや生産性向上目指す
読売新聞 / 2024年3月28日 21時10分
-
4パワハラ認定「遅すぎる」 地元ファンら、あきれた声
共同通信 / 2024年3月28日 18時23分
-
5「孤独感がある」4割、コロナ禍去っても2年前からほとんど変わらず…専門家「恒久的な問題になりつつある」
読売新聞 / 2024年3月29日 8時30分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください