[岩田太郎]【従わねば罰する「教育」と、傾聴し信頼する「教育」】~米国の「教育」内情 その2~
Japan In-depth / 2015年11月12日 7時0分
彼らは真摯な人と人のぶつかり合いで生徒の心をつかみ、勝利した。自分たちが掛け値なしに信頼されていると悟った不良たちは、自己も他者も大切に扱うようになった。高校に進学しない者もいたが、後に法に触れるようなことをした人はいなかった。先生たちが、自分らを価値のある者と認めてくれたからだ。
これぞ更生である。筆者は小中高と市立校だったので、京都市教育委員会の闇の部分もよく知っている。悪い教師もいる。だが、この決意の対応は本当に立派だった。これが教育であり、あの先生たちこそが教育者だと、深く尊敬した。
警察への通報など誰の頭にも浮かばなかった時代、教師も生徒も真剣にお互いに向き合うしかなかった。だが、そうした困難こそが知恵や本当の解決へとつながり、筆者が親になった今、子供へのかかわり方の揺るがぬ指針となっている。
翻って、現在多くの米公立校で行われている「教育」では、生徒が「教育者」に盲従しなくてはならない。教師たちは些細なことでも生徒が思い通りにならないことが許せず、すぐ警察を呼ぶ。教育者としての責任を放棄しているのだ。
そして、生徒に「犯罪者」「前科者」のレッテルという背負いきれぬ重荷を負わせ、その重荷に指一本触れようとしない。あの時荒れていた筆者の同級生たちが警察に通報されていれば、彼らは今頃どうなっていただろうか。元不良らは、勇敢で心優しい教師たちに価値を認められ、救われた。そういう教育者にこそ親たちが全面的に協力し、地域社会全体が彼らを尊敬し、学校が安定した好待遇で報いる体制こそが、教育現場、ひいては社会全体の問題解決につながる。
(本シリーズ全3回。この記事は
【黒人女子高生が白人保安官に引き倒された本当の理由】~米国の「教育」内情 その1~ の続きです。
その3【見失われた教育がもたらす権力の暴走】に続く。)
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