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[林信吾]【「ビートルズのEXILE魂」をご存じか】~ヨーロッパの移民・難民事情 その7~

Japan In-depth / 2015年11月12日 18時0分

ドイツ語では「ユダヤ人」の意味になり、それを知らなかったポールが、宣伝目的で事務所の窓ガラスにHey Judeと大書したところ、反ユダヤ主義の落書きと誤解され、抗議の電話が殺到したという逸話まであるほどだが、これは余談。

話を音楽に限っても、初期の名曲と称されるAnd I Love Herなどは、短調のメロディーラインや転調の仕方にケルト音楽の影響が見られると言われるし、Let it beという歌も、公式にはカトリックだけに許されている聖母マリア信仰の歌詞(ありのままに生きなさい、という教え)、Yesterdayの歌詞はアイルランド系移民の望郷の歌に想を得ている、といった具合だ。私は音楽には門外漢なので、どこまで本当なのかまでは保証しかねるが。

その後ジョン・レノンはカトリックの信仰から離れたものの、アイルランド系のアイデンティティは終生捨てなかった。なにしろ、これも日本では知られていないが、反英テロ活動を繰り広げていたIRA(アイルランド共和国軍)の「匿名の大口スポンサーの一人」に違いないとして、ロンドンの当局からずっとマークされていたのである。

ここまで読まれて、イギリス=イングランドにおけるアイルランド系移民と、わが国における在日の問題が、二重写しのように感じられた向きも多いのではないだろうか。

ならば、このように考えてみていただきたい。
「ビートルズはイギリスの誇りだが、アイルランド人は嫌いだ」
などと言い放つイギリス人がもしいたら、あなたはその人の知性を信頼する気になるだろうか、と。

(こちらはシリーズです。以下の記事も合わせてお読みください。
[林信吾]【“移民”なくしてロンドンなし】~ヨーロッパの移民・難民事情 その1~
[林信吾]【スポーツと政治と移民問題】~ヨーロッパの移民・難民事情 その2~
[林信吾]【ユダヤ人問題は“いじめの構造”】~ヨーロッパの移民・難民事情 その3~
[林信吾]【ロンドンのJJエリアを知っていますか?】~ヨーロッパの移民・難民事情 その4~
[林信吾]【英国と中東諸国との間の「歴史問題」】~ヨーロッパの移民・難民事情 その5~
[林信吾]【英語も実は「移民」がもたらした】~ヨーロッパの移民・難民事情 その6~
)


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