[安倍宏行]【東電柏崎刈羽原発、安全対策の進捗】~訓練から得られる知見を生かせ~
Japan In-depth / 2015年11月18日 20時4分
災害時、複数のプラントが被災した時や長期間にわたる事故に備え、緊急時対策要員も325名から約850名に増員している。また、電源復旧や注水、ガレキ撤去などは、被災後最優先で実施しなければならないことから、宿直員を現状8名から40名程度に増員することとしている。
新たな安全対策はこの3年間でさらに積み上がっており、考えうるものはほぼ対応済みである印象を受けた。二重、三重の対策を取ることで、安全性を出来るだけ高めようという姿勢が感じ取れた。東京電力柏崎刈羽発電所の横村忠幸所長は今後の安全対策について、「規制基準に合格したとしてもより安全にするための改革については決して歩みを止めることなく継続して実施していくことが重要だ。」と述べ、対策の積み重ねに決意を示した。また、「より厳しい訓練を課しながら、そこから原子炉を安全に確実に制御できる知見やアイデアを絞り出し、それを取り込んでいきたい」と語り、今後も継続して安全対策の質を高めていくとの考えを強調した。
こうした新規制基準に基づく対策は全国の原子力発電所で取られている。再稼働については、九州電力の川内原発に続き、四国電力の伊方原発が現在準備中だ。自然災害による重大事故は二度と起こしてはならないが、現在の技術水準で出来る限りの安全対策が取られていることは事実である。
そうした事実を踏まえ、国のエネルギー戦略の中における原子力発電の位置づけを明確にする必要がある。国は将来的に耐用年数を経た原発は廃炉にする方針を固めている。しかし、原発のほとんどが停止している今、その代替電源は、現時点で火力発電に頼っているのが現状だ。その為に我々ユーザーは高い電気料金を負担しており、中小企業などにとっては死活問題となっていることを忘れてはならない。再エネはベース電源にはなりえないことを踏まえると、新規制基準に合格した原発から再稼働することが現実的なのではないか。その上で、耐用年数が来た原発は順次廃炉にしていけばよい。震災から4年半たち、この議論がすっかり低調な今だからこそ、改めてこの問題に目を向けることが必要だ。
※トップ画像:柏崎刈羽原子力発電所7号機 正面内部にフィルタベントが設置されている ©安倍宏行
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