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[林信吾]【ロマとムスリム「移民問題」の源流】~ヨーロッパの移民・難民事情 その8~

Japan In-depth / 2015年11月19日 23時0分

音楽だけでなく、アンダルシア地方は方言も独特だが、中南米のスペイン語は、このアンダルシア方言を基礎にしている。今すぐ思いつく例を挙げると、Z(セタ)の発音は、スペインでは英語のthのように舌をはじいてツァ、ツィ、ツェに近いが、中南米では日本語のサ行と同様に発音する。これは大航海時代に、赤土に覆われて農地に恵まれなかったアンダルシア地方から、多くの移民が新大陸に渡って行ったという歴史を反映したものだ。

そもそもアンダルシアという地名自体、アラビア語のアル・アンダルス=ヴァンダル人の土地をスペイン語に読み替えたものである。ヴァンダル人とは、はじめヨーロッパ中部平原(現在のドイツ語圏)で暮らしていたものが、ゲルマン人に追われてイベリア半島に移り、やがて西ローマ帝国に迫害されて北アフリカまで逃れた。

その後イスラムが北アフリカに広まると、真っ先にその信仰を受け容れ、やがてイスラムのウマイヤ朝がジブラルタル海峡を越えてイベリア半島に攻め込むと、その尖兵となった……とされるが、これは多分に伝説的な話に過ぎない。

その後イベリア半島はイスラムの勢力圏となるが、キリスト教徒によるレコンキスタ(国土回復運動)の結果、1492年に北アフリカに押し戻された後も、地名だけは生き残ったというわけだ。今もイスラム文化はかの地に深く根付いている。

外からもたらされた文化を大いに採り入れ、一方では新大陸に多くの移民を送り出した、アンダルシア地方の歴史と習俗は、本当はヨーロッパの縮図なのだが。

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