[細川珠生]【シリア問題:日本は包括的な解決策を提言せよ】~民主党大野元裕参議院議員に聞く~
Japan In-depth / 2015年11月26日 7時20分
11月13日にパリで起きたイスラム国による同時多発テロは130人を超える犠牲者を出し、世界中を震撼させた。中東問題に詳しい民主党の大野元裕参議院議員をゲストに迎え、この問題について聞いた。
このテロを受けて、「次はどこが狙われるのか?」と世界的に恐怖の連鎖が広がっていくことが懸念。「我々は少し冷静になったほうがいい。」と大野氏は呼びかけた。今回のテロでISが世界のどこでもテロを起こせるという印象を与えたが、「(テロは)環境とタイミングが揃ったときしかできない。」と述べた。人、武器が揃うとなると、「現時点では中東諸国、フランスをはじめとするピレネー以南の地域で相対的に蓋然性が高いだろう」と大野氏は分析した。
日本でも集団的自衛権の行使が可能になり、「テロの対象になるのでは?」と国内で不安が広がっている。しかし、日本については「比較的(テロが)やりにくい国」と大野氏は述べた。島国であること、また自動小銃などの武器の入手が困難であることから、パリで起きたようなテロは物理的に難しい、との考えを示した。実際に、これまで日本で起こったテロはハイジャックや爆弾を使ったものが殆どだ、という。
ただし、懸念点もあると大野氏は語る。今年5月、仏教国であるスリランカでISのビラが見つかった。ISがイエメンやアフガンに入ってきた当初、全く影響力はなかったという。しかし、一年で無視できない勢力へと拡大した。「日本ではまだ影響力はないが、一定の期間放置すると大きくなってしまう。」と大野氏は警戒すべきだとの考えを明らかにした。
フランスではテロ直後、警察力を一気に投入し捜査している。しかし、テロが起こる前の情報収集、インテリジェンスの部分が弱かったと大野氏は振り返り、「日本を含めた国々は事前のインテリジェンスに力を入れるべき。」と述べた。
さらに、大野氏は「日本の情報機関は縦割りで、相互の情報共有がなされていない傾向が強い。」と指摘し、今後、インテリジェンス・コミュニティを束ねる機関の設立、相手国の諜報活動を妨げるための法整備と機関の設立が急務だと述べた。
もし、実際にテロが起きてしまったとき、日本はどのように対処すべきか。フランスは警察、軍を投入したが、日本では自衛隊が出動できるのか。日本には、政治の意思で迅速に自衛隊が出動できる「治安出動」という制度があるが、この制度は一度も行使されたことがない。防衛大臣の判断や、警察のプライドとメンツ等という問題があり、いざというときに行使できるかわからないという。
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