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[Japan In-depthチャンネルニコ生公式放送リポート] 【仏同時テロ:メディアの報道ぶりを評価する】~日本報道検証機構楊井人文氏に聞く~

Japan In-depth / 2015年11月28日 23時50分

新聞の報道ぶりはどうであったか。楊井氏は「読売は14日〜24日まで毎日ほぼ1面はテロ関連情報で、単純に面の数を数えると10日間で77面。朝日も63面。毎日は朝夕全て1面、合計71面で取り上げた。情報源としては有益だったのではないか」と、新聞の報道姿勢を評価した。

一方で、メディアの報道に問題はなかったのか。「過激派組織『イスラム国』(IS)が犯行を表明する前から、新聞・テレビ双方がISの犯行であることを断定していたようだ。またアバウト容疑者は首謀者であることも、明確な根拠を添えて主張できていた報道はなかった。またロシアの旅客機爆破事件とISの結びつきも不明瞭だ」と楊井氏は述べ、冷静に事実を分析できているメディアがほとんどないことを指摘した。

「日本がテロに過敏に反応しているのでは」と安倍編集長が質問すると、楊井氏は、「実行犯が8人である」という現地メディアの情報に疑問を呈した毎日新聞の記事を例に挙げ、「日本はヨーロッパ・中東から地理的に遠いことを利点に、もっと冷静に、客観的に情報を分析してもいい」と述べた。

安倍編集長の「これまでもそうだが、今回もテレビは、ISらが制作している広報映像や(犯行声明などの)テロリストの肉声を何度も繰り返し放送している。これはテロに加担する行為であり、止めるべきだ」とテレビの放送姿勢を批判した。これに対し、楊井氏は、「テロリストは自分たちの力を誇示するためにプロパガンダ活動やテロを行っている。彼らの主張を報道することは、彼らの思う壺になりかねない」と賛同した。

日本はテロにどう向き合うべきか。「情報収集体制が弱い」という楊井氏の指摘に対し、安倍編集長は「安倍首相は情報収集専門の機関を設けようとしているが、既に警察・公安・外務省・防衛省・内調という五機関がある。縦割りの機関が、情報をお互いが融通することがはたしてできるのか」と問題提起をした。加えて、テロを受けるリスクを減らすための案として「今後冬を迎える難民のためにも、力ではなく人道支援で。」と指摘した。

最後に楊井氏に、メディアに求めるものを聞いた。「ジャーナリズムには、断定(根拠のない情報を主張する)・主張(自分たちの主張に沿った情報しか流さない)・利益集団(特定の団体の代弁者)・検証の4形態がある。ジャーナリズムの9つの原則(注1)の3つ目、『Its essence is a discipline of verification ~ジャーナリズムの真髄は検証の規律である~』という言葉もある。分析をするためにも、正しい事実認識をすることが大切だ」と述べた。

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