[山内昌之]【露空軍機撃墜でトルコ窮地に】~日中・偶発的衝突への教訓に~
Japan In-depth / 2015年12月2日 23時0分
第2次冷戦から実際の熱戦への発展を阻止できるのは、米欧でなく、ロシアの自己抑制と大局観である。トルコに対するロシアの抑制が期待される。これまでの中東においては、偶発的な武力衝突が発生した場合でも、その拡大を防ぐ経験則がイスラエルやアラブ諸国は無論のこと、或る程度まではイラクと長期間戦ったイランにも備わっていた。しかし、トルコとロシアとの思いもよらぬ対立は、関係者が想定する範囲外である。エルドアンとプーチンという個性的な首脳の判断と相まって対立が深刻化する可能性もあるが、トルコが思い切って譲歩しない限り、ロシアが厳しい態度を緩和する可能性は少ない。
日本にとっての教訓もある。東アジアでは中東のような経験が少ないために、領空や領海の侵犯による偶発的な衝突の発生から戦争への拡大への発展を抑えられない危険性もある。トルコ軍機やNATO艦船に繰り返したロシア機のロックオンは、先年中国空軍機による空自機への挑発と同じであり、練度と意識の高い日本の航空自衛隊だからこそよく忍耐できたのである。
トルコの政治危機をめぐるNATOや米国の冷淡な態度もしくは冷静な対応を見るとき、米国が尖閣諸島をめぐる日中間の緊張が衝突に発展することに強い危機感をもつのは当然であろう。今回の事件は、オバマ政権が偶発的衝突のレベルでも中国との対決に踏み切る覚悟をもてるか否かについて、日本政府と国防当局が改めて検討する機会にもなったに違いない。
※トップ画像:出典 everystockphoto / Free Grunge Textures - www.freestock.ca
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