[林信吾]【英・国王と有色人種とテディ・ボーイズ】~ヨーロッパの移民・難民事情 その11~
Japan In-depth / 2015年12月7日 18時0分
話題としては前後するが、このエドワード8世という国王は、前王ジョージ5世の逝去にともない、1936年1月20日に即位した。ところが、離婚歴のある米国人女性ウォリス・シンプソンとの関係を清算できず、同年12月21日、戴冠式も済ませないまま退位してしまう。日本でも「王冠を捨てた恋」として有名になったが、実はこの人、なかなか強烈な白人優越主義者であったことが、最近明らかになってきている。
その話は「王冠を捨てた恋の真相」とでも銘打って、いずれ稿を改めて述べることもあろうが、この話と、国王の髪型から想を得て、テディ・ボーイズと呼ばれる青少年が、移民排斥運動の先頭に立った事実を重ねると、どうも単なる偶然では済まされないような気がするではないか。
1970年代から80年代にかけても、当時「英国病」とまで言われた経済の低迷を背景に、やはり移民排斥運動が社会問題化した。この時は、頭をつるつるに剃り上げた、スキンヘッズと呼ばれるグループが台頭し、主たる標的も彼らの言う「イン・パキ=インド・パキスタン系の移民」になったようだ。
昨今、イスラム過激派のテロ行為について、差別や貧困がその温床だとする意見もあれば、それに対して懐疑的な意見を開陳する人もいる。たしかに、宗教的正義の名の下にテロを容認する彼らの教義について、その危険性を軽視できないが、移民・難民問題の総体としては、やはり経済的要素を見落としてはならないと私は思う。
※トップ画像:everystockphoto.com / photo dlisbona (View this photo on Flickr)
-
- 1
- 2
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
「人種の壁」を超えたヒーローたち...大谷とジャッジが示した「多様性の理想」
ニューズウィーク日本版 / 2024年11月14日 19時0分
-
「ハリス大敗は当然の帰結」──米左派のバーニー・サンダース上院議員が吠える
ニューズウィーク日本版 / 2024年11月7日 14時12分
-
『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』と『ウォッチメン』が似過ぎていて怖い話
ニューズウィーク日本版 / 2024年11月6日 11時0分
-
クルド人ヘイトを煽る人々の正体は? その背景を雨宮処凛が解説
エンタメNEXT / 2024年10月27日 11時30分
-
アメリカ社会「分断」の根底にある"ふたつの聖書" バイデンとトランプが宣誓に使った聖書は別物
東洋経済オンライン / 2024年10月26日 18時0分
ランキング
-
1軍事費「増額続ける」=トランプ氏に配慮―前台湾総統
時事通信 / 2024年11月24日 15時29分
-
2韓国政府、佐渡で25日に独自追悼行事開催
共同通信 / 2024年11月24日 16時4分
-
3ガザ全域をイスラエル軍が攻撃、48時間で少なくとも120人死亡…レバノンでは空爆で20人死亡
読売新聞 / 2024年11月24日 18時47分
-
4飲料にメタノール混入か、ラオスで外国人観光客6人が相次ぎ死亡…日本大使館も注意呼びかけ
読売新聞 / 2024年11月24日 15時44分
-
5COP29 途上国支援「年46兆円」で合意 「目標額が少なすぎる」の声も
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月24日 11時43分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください