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[安岡美佳]【デンマークを通り抜けるシリア難民】~日本は中東の難民コミュニティ支援を~

Japan In-depth / 2015年12月10日 23時0分

デンマークは、他北欧諸国の中でも最もシリア難民の受け入れが少ない。その評価をする立場にはないが、現地に住んでいる身としては、移民の受け入れは難しいことは、毎日の生活で肌身に感じている。だからこそ受け入れが少ないことを批判することはできないと考えている。デンマークは国庫に余裕があるわけもなく、また、シリアとデンマークでは、民族的にも文化や習慣が違いすぎる。

過去にさかのぼると、デンマークは60年に労働移民としてトルコ移民を多く受け入れたが、50年以上経過した今、一部の移民コミュニティはデンマークとは異なる個別の文化圏を構成し、若者の失業率は特に高く、現地人との対立を生み、国の基盤にきしみが生まれている。二世三世にとっても理想的な状況とは言い難いんじゃないだろうか。

状況は他の北欧諸国でも同様だ。だからこそ、今回の難民支援に関しても、単に難民認定し、安全な北欧に住まわせるのが唯一の正解ではなく、長期的な視点での対処が必要になってくるんじゃないかと思うのだ。実際のところシリア人は欧州に長期住みたいという希望を持っているのではなく、機会があれば、国に戻り国の再建に貢献したい、なるべく近隣諸国に避難したいと考えているという。そこで必要なのは、当面安心して生活でき、かつ母国を必要な時には支援しやすく、かつ機会があれば国に戻りやすい、そんな場所なんだろうと思う。

ここで、日本に何ができるかということを考えてみたい。日本は、難民受け入れたのは12月1日時点で3人のみということだが、シリア難民支援のための拠出金は米国に次いで第2位だ。私は、上記の理由から国の方針としては最善の策なんだと思っている。

難民対応は非常に繊細な問題で、難民認定し国内で受け入れることで長期的に支援をするには、困難が予想されるからだ。そもそも日本は、難民や移民受け入れの経験が限定的であり、準備ができているとは言い難い。だからこそ、今まで通り拠出金による支援に注力するのが最も役立つ支援方法ではないかと考えている。

シリア近隣諸国で、難民の流入によって打撃を受けてしまった貧困コミュニティを支援し、そこで難民が生活できるように国際社会を動かしていくこと、そこから難民が母国を支援し再建することを支援するための仕組みを作る、そんな日本のイニシアチブを見てみたいと思う。

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