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[Japan In-depthチャンネルニコ生公式放送リポート]【2016国際情勢を占う~日中・日米関係の今後~】〜産経新聞ワシントン駐在客員特派員古森義久氏に聞く〜

Japan In-depth / 2015年12月12日 11時0分

話題は環太平洋連携協定(TPP)に移った。「TPPと言えば貿易や関税を思い浮かべる人が多いが、対中国包囲網であることを意識している人は少ない」とする古森氏に対し、安倍編集長は「アジアインフラ投資銀行(AIIB)でアジアなどに金をばらまく中国と日本はどう関わっていくのか」と質問した。それに対し古森氏は「中国は日本の領海に頻繁に侵入して来たり、二国間の通告無視してガス田建設を増やしたりしている。中国は日本を潜在敵視しているが、日本としては、戦略的互恵関係を保てばよい。中国が毎年大軍拡をしていることを、事実関係を把握して、議会で論じるべきだ」とした。安倍編集長もこうした国際情勢に目をつぶって論議していてはいけない、と同調した。

去年の6月にシリア・イラクで発生したIS(イスラム国)は勢力を拡大し、今年ケニア・エチオピア・パリ・マリなどでテロが発生。多くの犠牲が出た。古森氏は「アメリカは及び腰だがヨーロッパの方が先に出ている」と述べ、欧州がIS強硬策に傾いていると分析した。

一方古森氏は、日本では“ISと対話をしなくてはいけない”という論調が一部にあることに触れ、犠牲となったジャーナリスト後藤氏の事件を紹介して、「殺人犯を目の前にして話し合えというのか」と疑問を呈し、こうした論調は無責任だとした。

また「テロは貧困から生まれる」という意見に対し、「ISの潤沢な資金源は年間100億円近い。(収入の)50%が住民からの徴税、43%が麻薬や石油の密売である。余りにも現実を見ず、響の良いスローガン的なことを言う人が多い」と批判した。又古森氏は「イスラムとはなんなのか。イスラムの過激な部分をどうしたらいいのか、世界の大問題だ」と述べた。

安倍編集長が「シリア人が現在日本に数百人いる」という事実を述べたところ、「日本が『難民の地位に関する条約』に加盟したのは1981年。ベトナム戦争後、日本には今難民は5,000人近くらいいる」と紹介した。安倍編集長は、高度先進医療などを受けたいというシリア難民がいれば積極的に受け入れるべきだとの考えを示した。また、難民と移民は分けて考えるべきだと述べた。

話題は来年のアメリカ大統領選挙へ。「今のアメリカはリベラルなオバマ政権への反感が強い。共和党のジェブ・ブッシュ候補はどちらかと言うと強い保守ではなく、穏健なエスタブリッシュメントと見なされており、それで不人気なのでは」と古森氏は述べ、ドナルド・トランプ候補の人気については「本音で話したい人たちはかなりいて彼らにアピールしている。オバマ政権は貧しい人弱い人を政府の金で面倒を見る政策をとってきた。それを行き過ぎていると怒りを感じている白人の中年の男性の一部に煽りをやっている。」と応えた。

2016年はどんな年になるのだろうか。古森氏は「一言で言うと“混迷”米は大統領選があるし、中国やロシアなどにとってはチャンス。中国はもっと出てくる。テロも深刻な問題だが、超大国を団結させる機会と捉えられる。また北朝鮮に日本人が拉致されているという点も忘れてはいけない。北朝鮮の動きからも目を離してはいけない」と日本を取り巻くアジアの情勢と、テロの脅威について語った。

(この記事は、ニコ生【Japan In-depthチャンネル】2015年12月9日放送 を要約したものです)

※トップ画像:ⓒJapan In-depth編集部

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