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[林信吾]【「移民と共生できる日本」の未来像を描け】~ヨーロッパの移民・難民事情 その14~

Japan In-depth / 2015年12月18日 7時0分

わが祖先は越中富山に定住したが、越前(福井)、越後(新潟)と、北陸地方の地名に越の字がつくのは、一帯が「海を越えてきた人」が多く済む地域だと、古代より認識されてきたからだと聞く。事実において、日本は単一民族国家ではない。移民と難民の問題を腑分けしなければいけない、という議論は、ここにつながってくる。

現在直下の問題として、難民認定のハードルが高くなるのは、やむを得ないだろう。治安維持は、政府の一番大事な仕事のひとつである。しかしながら移民に関しては、歴史的には特別な現象ではないのだ、という認識を取り戻すことが出発点となる。いや、そうあらねばならない。

だからこそ、政府が昨今考えているような、介護職など人手不足が深刻な職種に限って、外国人の就労を拡大しようという政策には、反対せざるを得ない。介護の仕事をあまり安直に考えるのも感心しないし、もっとよくないのは、この政策は日本人介護士に対する、賃金抑制圧力になるからだ。

本シリーズで繰り返し述べてきたことだが、ヨーロッパ諸国における移民の問題とは、若年労働力の不足を移民に頼って解決しようとした結果、移民が労働者階級に対する賃金抑制圧力として作用し、反発を招き、排外主義につながってきた。

その轍を踏まぬよう、まずは研究者や留学生に、補助金を出してでも門戸を拡大し、彼らがその学識経験を日本社会にフォードバックできるような環境を整えることから始めたい。語学教師はネイティブと競争するくらいの厳しさが要求されてよいと思う。

リストラされた熟年日本人と、母国に仕送りすることしか考えていない外国人とが、単純作業の職を奪い合う図とは対極にある社会。そこに「移民と共存できる日本」の未来像を、私は描きたいのである。

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