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【独立阻むカタルーニャの内外事情】~スペイン・カタルーニャ独立運動の行方 その2~

Japan In-depth / 2015年12月18日 11時0分

【独立阻むカタルーニャの内外事情】~スペイン・カタルーニャ独立運動の行方 その2~

スペイン・カタルーニャ州で2015年9月27日、州議会選挙が行われた。独立運動が高まりを見せるカタルーニャにおいて、事実上、独立の是非を問う住民投票だと注目を集めた。結果は議席の過半数を独立賛成派が占めることとなり、独立に向けた動きが加速するかのようにみられた。

一方で、スペイン政府は、カタルーニャの独立に断固として立ち向かう姿勢を貫いている。カタルーニャ議会が11月、独立手続きの開始を決議したことに関し、スペイン政府はこれを裁判所に提訴、違憲の判決が下されている。イギリスのキャメロン首相が、独立したカタルーニャをEU加盟国として認めないことを明言するなど、海外からの視線も冷ややかだ。

独立を阻むのはカタルーニャの外ばかりではない。前述の州議会選挙では独立賛成派が過半数の議席を獲得したものの、実は得票数では独立賛成派は47.8%と半数に満たなかった。多くのカタルーニャ市民が独立を望んでいるわけではない、という事実が浮き彫りとなったのだ。

独立を反対するカタルーニャ市民の一人は話す。「独立を本当に望んでいるのは一部の人たちだけ。今後独立が現実味を帯びるようなことがあれば、反対派だって黙っていない。」カタルーニャはスペインの中でも、特に多様な背景を持つ人々により構成される地域の一つである。人口の15%近くが外国人という事実に加え、州都バルセロナではカタルーニャ出身者が約半数に留まるという話もある。

「カタルーニャ文化にばかり固執するのは、今の時代ナンセンス。仮に独立し、カタルーニャ語が使われる機会が増えれば、他のスペイン人もスペイン語を話す外国人もみなカタルーニャから出て行くだろう。」

独立賛成派が独立を進める理由としている、税の負担と配分の不公平についても、州政府の税金の使い方を改める方が優先的な課題との指摘もある。前カタルーニャ州首相のマス氏には現在、公共事業に関わる汚職の疑惑がかけられている。

加えて独立賛成派内部にも、一枚岩になり切れない事情がある。今回の州議会選挙で「勝利した」とされる独立賛成派は、連立政党ジュンツ・パル・シ党と極左派の民主統一党(CUP)から成る。第一党であるジュンツ・パル・シは前首相のマス氏を州首相候補としているものの、CUPはこれに反対、12月時点で州知事が決まらない状況となっている。そもそも、独立賛成を除いて政治的主張が全く異なる両者が協力していくことに、疑問の声もある。また、ジュンツ・パル・シ自体も、今回の選挙のために従来の連立関係が見直され組織された政党だ。

ところでスペインでは、12月20日に総選挙が予定されている。見どころは、長年の二大政党制を崩す新勢力の台頭であるが、カタルーニャの独立も争点の一つとされる。特に2014年の結成以来急激に支持を増やしているポデモス党は、カタルーニャ独立運動に一定の理解を示していることから、選挙の結果次第では今後スペイン政府とカタルーニャ独立賛成派の緊張関係の変化が期待できる。

(【カタルーニャはなぜ独立を目指すのか】~スペイン・カタルーニャ独立運動の行方 その1~ の続き。

このシリーズ全2回)

 

※トップ画像:独立運動の旗が掲げられているバルセロナのアパート ©コナーこずえ

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