政治経済的に行き詰まるロシア 特集「2016年を占う!」ロシア その1
Japan In-depth / 2015年12月23日 18時0分
ロシアは日本に擦り寄るのではないか?
2016年の予想はそれだ。ロシア経済の不振は長期・深刻化する見込みにある。そして欧米との対立は解決しない。つまりロシアが経済交流を期待できる地域は極東しかない。特に中国と日本に接近するだろう。
これは日本にとってチャンスである。エネルギー・水産資源の安価・安定供給が実現できるためだ。日本はロシアの勧めるままに買い叩けばよい。もちろん、ロシアと対立する米国や欧州は苦言を呈するが、結局は不満の提示するものにすぎない。それを聞いても現実的な利益もなく、従わなくとも不利益はない。
ただし、領土問題は解決しない。ロシアは領土問題についてリップサービスをするが、決して譲歩はしない。ロシア人にとっても北方四島は神聖な領土である。日本人に引き渡す選択肢はない。もしそれを持ち出せば売国行為とされ、政府は倒されてしまう。
■ ロシアは行き詰まる
2016年、ロシアは内外での行き詰まりに直面する。14年から続くウクライナ問題と15年からの原油価格暴落に加え、16年にはエルニーニョによる農業不振が加わる可能性があるためだ。
・ ウクライナ問題
2014年のウクライナ問題以降、ロシアは欧州と対立を続けなければならなくなった。経済では西側の制裁を受け、軍事的には増強されたNATO軍事力と対峙する形である。
肝腎のウクライナでもロシアは勝利していない。見た目では強引な切り取りに成功したように見える。だが、その成果はウクライナ東部とクリミア半島といった一部に限定される。そして、ロシアはそれと引き換えにウクライナ本体への影響力を失い、さらに、永遠に解決しない領土問題での対立を抱え込んでしまった。
・ 原油価格下落
そして、2015年には原油価格下落に直面している。ロシア経済は一次産品の輸出に依存しており、その中核は原油である。そして、その価格低落が止まらない状況にある。2014年には原油はバレル100ドル内外あったが、15年の年初には60ドルを割り込み、年末はついに35ドルとなった。これは欧州からの経済制裁どころではない衝撃である。
この影響は、特にモノグラード経済に大きくでるだろう。ロシアには単一工業に特化している都市が多い。植民地での単一栽培=モノカルチャー政策に掛けて単一(生産)都市=モノグラードと呼ばれる。
もともとその不振は政権にとっての課題となっている。現地ではインフラ、社会保障といった公共サービスは企業頼みである。その企業が麻痺すると生活はなりたたない。特に極寒地でのセントラル・ヒーティング供給は生死に関わる要素である。
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