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[遠藤功治]【ZMP上場前夜、自動運転元年 その3】~特集「2016年を占う!」自動車業界~

Japan In-depth / 2015年12月28日 18時0分

東京オリンピック・パラリンピック開催に合わせ、戦略特区として、東京都内の首都高速にタクシー専用レーンを設定、オリンピック関連施設が集まる、台場・勝どき・有明・外苑・新宿などと主要な公共施設、例えば羽田空港や東京駅などを結ぶ、と言う計画で、一部一般道路にも専用レーンを設定する可能性も残っている模様です。この専用レーンは、2020年の段階では、完全無人タクシ―と従来通りの有人タクシーの、双方が利用可能となる模様です。

ZMPは現在、トヨタのプリウス(第2世代車)とエスティマをベースとした、完全自動運転車の公道実験を実施しています。愛知県は豊田市を中心にした地域、神奈川県では藤沢市を中心とした地域などで、無人運転車の試験を行い、多くのデータを収集、AIのdeep learningによる地図や障害物認識の精度向上などを通して、完全無人運転車の実績作りを進める計画です。

Google同様、ZMPは自動運転車の車自体の製造にはタッチしない方向です。車自体は現在のタクシー同様、自動車会社から調達、そこに当社開発のソフトや協力会社から供給される自動関連の機器を取りつけ、タクシー会社に販売するというもの。またそのタクシー会社自体を傘下に持つことで、アプリの開発・販売へ進む予定。既存の自動車に機器を取りつけるのは、街中の板金・修理工場などを利用する予定で、これ自体はそれほど難しい工程ではないでしょう。

例えば、トヨタからエスティマを約500万円で購入。従来車のため、ハンドルもアクセルペダルも仕入れ時は付いていますが、仕入れ後に全て取り外しても良いでしょう。そこに自動運転用ソフトやステレオカメラ、ミリ波レーダー、各種センサー類などを取りつけます。機器類合計で約500万円のコスト、つまりこの自動運転用エスティマは約1,000万円の価格となります。やや高い印象がありますが、実際はどうでしょうか。

タクシーの運用コストですが、従来のタクシーでは、その約70%が人件費です。勿論、500万円の自動運転機器のコストがかかりますが、5年償却と考えれば、1年間のコストは100万円です。東京都のタクシードライバーの平均年収を約400万円ほどと考えると、人件費400万円が全て消え、年間償却費100万円の機器に置き換わる、つまり、車輛本体価格以外のコストは4分の1に激減するということになります。

理論的には東京都のタクシー初乗り料金は、300円程度まで下がることが可能、まさに価格破壊をもたらすことになります。勿論、タクシー料金は原則認可制であり、かつ無人タクシー―の料金がここまで下がれば、既存のタクシー業界に激震が走ること必死、猛烈な反対運動が巻き起こるかもしれません。その一方で、タクシー運転手の平均年齢が65歳を超え、交通事故の頻度も高く、若者も就職したがらないという面を考えるに、将来の人口減少と交通事故減少の切り札になる可能性もあると考えます。

(【ZMP上場前夜、自動運転元年 その4】~特集「2016年を占う!」自動車業界~ に続く。本シリーズ全4回。
【ZMP上場前夜、自動運転元年 その1】~特集「2016年を占う!」自動車業界~
【ZMP上場前夜、自動運転元年 その2】~特集「2016年を占う!」自動車業界~
も合わせてお読みください)

※トップ画像:©ZMP、ARJ

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