[遠藤功治]【ZMP上場前夜、自動運転元年 その4】~特集「2016年を占う!」自動車業界~
Japan In-depth / 2015年12月28日 18時0分
フォード1社なのか、それ以外の自動車メーカーとも今後提携していくのかは定かではありませんが、取り敢えず、フォードが手を上げた訳です。ちなみにGoogleが現在公道で実証実験を行っている自動運転車のベース車はトヨタのプリウスです。実は、Googleはトヨタとも、生産における提携を模索していた節があります。ただトヨタから見れば、自動運転の知能という領域で、他社に技術的優位性を取られることは避けたいところです。結果、トヨタはGoogleとの提携には消極的でした。自動運転の実現に於いて、ここに一つのジレンマがあります。
前述した通り、GoogleやZMPはLevel-4を目指し、トヨタなどの既存の自動車大手はLevel-3を目指します。ここには根本的な利害の相違が存在します。全ての車がLevel-4となれば、既存の自動車メーカーが“走り”に開発の焦点を当てた車作りは過去のものになります。ドライバーがいない、自分で運転をしない、車が単なる効率的な無人の移動手段になる訳ですから、自動車メーカー間での独立色を出すことが困難になります。デスクトップのコンピューター同様、ハードでの競争が殆ど意味を無くし、自動運転の技術力が競争力の中心になります。
自動車メーカーにとって、GoogleやZMPと提携することが、自分の首を絞める結果につながる(かもしれない)、という点で、パンドラの箱な訳です。時価総額がトヨタの2倍以上と巨大なGoogleはまだしも、ようやく上場が実現するZMPなどの小規模な会社が、トヨタのような大手に敵う訳がない、いずれは吸収されるか撃沈されるかで、勝ち目は殆ど無い、という投資家が多いのも確かです。
ただその一方で、そうした自動運転技術を持たない、車体生産の下請けにならざるを得ない自動車メーカーは、ひょっとするとGoogleに買収されるかもしれません。自動運転技術とは、将来自動車業界の大再編、それも自動車間だけではなく、他の業種を巻き込んでの再編に繋がる可能性を秘めています。2016年はその元年になるかもしれません。
(完 本シリーズ全4回。
【ZMP上場前夜、自動運転元年 その1】~特集「2016年を占う!」自動車業界~
【ZMP上場前夜、自動運転元年 その2】~特集「2016年を占う!」自動車業界~
【ZMP上場前夜、自動運転元年 その3】~特集「2016年を占う!」自動車業界~
も合わせてお読みください)
※トップ画像:©ZMP、ARJ
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