[難波美智代]【アスリート女性への健康支援が女性活躍の鍵】~特集「2016年を占う!」女性の健康と活躍~
Japan In-depth / 2016年1月1日 23時0分
12月に現役引退を表明したなでしこジャパンの澤穂希選手。15歳から日本代表チームに参加し、2011年にドイツで開催された国際サッカー連盟主催の世界大会で日本代表チームを初優勝に導きました。同時に、得点王とMVP(最優秀選手)に輝き、同年度のFIFAバロンドール(女子年間最優秀選手賞)を受賞しました。まさに日本の女子サッカー界のレジェンドとして活躍し続けたトップアスリートです。
そんな澤選手は、メンタルやフィジカルを鍛えるトレーナーのほかに婦人科のかかりつけ医を持ち、年に一回の子宮頸がんや乳がんの検診は欠かさないと聞きます。また、基礎体温を測るなどからだのバイオリズムを把握し試合に臨んでいたことも有名です。
現在、日本では、2020年の東京オリンピックに向けて、指導的立場にあるトレーナーや選手本人に対しての健康教育が行われています。特にアスリートは、健康マネジメントなくしてはその能力を活かせないにも関わらず、女性ならではのヘルスケア支援が十分に行われてこなかった背景があります。
女性アスリートとしてのキャリアは、結婚、妊娠、出産、育児等のライフイベントはトレードオフの関係にあります。そこで、彼女たちが、セカンドキャリアにおいても健康で活躍し続けられるような環境作りが必要になってくるのです。
これはビジネスの環境でも同様です。意欲や能力の高い女性たちがライフイベントや病気によって、キャリアを一時的に中断もしくは調整・変更する場合、その後、社会に貢献できる環境を整備するためには、健康リスクと労働施策、企業業績(利益率、生産性)との関連性を各企業が明確にしていくことが必要です。
働く女性の健康増進が企業経営にどういった影響をあたえるのかは、筆者の記事【女性の生理を科学的に理解しよう】~男性が女性のからだについて知っておくべきコト 1~ でも問題提起した通りです。
なでしこジャパン(サッカー)、サクラセブンズ(ラグビー)、ガールズケイリン(自転車)等、スポーツ業界はオリンピックに向けていち早く健康施策に取り組んでいます。一般の企業も女性活用を成功させるためには、こうした動きに倣うべきでしょう。
2015年8月に成立した「女性活躍推進法」では、2016年4月から従業員301人以上の企業に対して管理職に占める女性比率の把握や数値公表、女性活躍の計画づくりを求めています。男女共同参画社会基本法の促進に関する基本的な計画である「男女共同参画基本計画」の4次計画の協議では、生涯を通じた女性の健康支援についてさらに細かな項目が打ち出されてきました。
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