[為末大学]【引退後苦労する選手の3つの特徴】~現役時代のコーチングの重要さ~
Japan In-depth / 2016年1月2日 18時0分
自分で考えられない選手という表現を私たちはよくします。現役時代はコーチがべったりであることも多いので目立ちにくく、仮に自分で考えられなくてもある程度結果を残したりしますが、引退するとこの特徴が顕著に現れてきます。
自分で考えられない選手は引退した後に苦労することがとても多いからです。ではこういった選手が育ってしまう環境とはどんなものでしょうか。私の超独断と偏見で、分析してみたいと思います。と、その前に自分で考えられない選手の特徴を下の三つにまとめてみます。
・評価基準を自分で決められない
・自分で自分を評価できない
・自分で何をすべきかを決められない
他にもあるかもしれないですが、今日はこんなところで進めていきます。
この三つの特徴が現れるとどんな状況になるかと言いますと、まず自分がどんな選手になりたいか、どういったプレイをすべきか、ということをコーチに決めてもらいます。さらに今日練習を行ってよかった点、悪かった点をコーチにフィードバックしてもらいます。そして、どうすればそれが改善できるのかという改善方法をコーチに教えてもらうわけです。
実はこのスタイルは短期的には効きます。3年程度であれば自分で考えるというしちめんどくさいことをしなくても、コーチが決めた方が結果が出ます。なにしろ自分の頭で考えて行動すると、当然どの選手も経験不足ですから失敗しまくります。
さらに自分には向いていないような姿を目指したり、正確な改善方法を思いつかなかったりしますから回り道が多い。ですから短期のコーチングとしてはそれらを全部教えるのは正しいやり方とも言えます。
ただ長期的な視点でみるとこのスタイルはかなり苦しみます。特に引退後です。自分がどうなりたいかという決定を本人のせいではないにしても、外注してきたということは、社会人でいうなら、キャリアパスを全部誰かに決めてもらって生きてきたということになります。
引退後は、コーチがいない状態がやってくるわけで、それでいきなり将来どうしたいと聞かれても選手は戸惑うばかりです。自分はどうなりたくて、今の状況はどの程度で、そして何をすればそこに近づけるのか。このサイクルを実は一度も回したことがないわけですから。
引退後のことまで考えてらんねーよというのが、勝負の舞台の偽らざる本音でしょうが、やはり少しでもそれを軽減するようなコーチングが望ましいと私は考えています。競技力に関しても、長期間現役を続けるとしたら、少しなりともこういった自分で考えるということは大切になると思うからです。
それでどうすればいいのかと言われると、当たり前の答えしか私は思いつきませんが、やはり問いかけることだと思います。どうなりたいのか、どうだったのか、どうすればいいと思うのか。問いかけ、自分で考えさせ、決めさせるのを繰り返すことで、選手は少しずつ自分の頭で考えるようになるのだと思います。そして、一番の肝は、コーチ自身が日常的に自分に問いかけていない場合、選手にこれを行うのは難しいということでしょう。
社会において自分で考えるということの、最初の一歩目は何をよしとするかという評価基準を自分で設定することだと思います。自分の人生がうまくいくかどうかの前に、どの軸でうまくいくかどうかを評価するのかという問いがあるわけです。
そしてそれは現役時代のような勝ち負けではっきりと分かれた世界ではなく、もっといろんな評価軸の中から選びとらなければならない難しさが社会の中にはあるのです。
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