[清谷信一]【納税者も驚愕、陸自衛生学校体育館狂騒曲 その2】~最前線で隊員の命を救えるか?~
Japan In-depth / 2016年1月8日 7時0分
更に言えば、自衛隊の旅団、師団など部隊での医官の充足率は2割しかない。インターンに至ってはゼロ、である。これで海外派遣はもちろん、国内での発生が想定されているゲリラ・コマンドウ事態に対処できるのだろうか。
筆者は、この医官の充足率に関して記者会見で中谷防衛大臣に質問。大臣は医官の不足をどのように補っているかという視点で以下のように述べた。
「駐屯地等の診療は、近傍の自衛隊病院での診療の必要、診療、また必要により医官が巡回診療を行うなどの対応を行っております。また、薬剤官が配置されており、風邪などの軽度の疾患、また慢性疾患に対する医薬品の処方を行っております。」
我が国の法律では薬剤師が患者に処方を出すことはできない。大臣の発言が事実であれば防衛省は組織的に違法行為、脱法行為を行っていることになる。これは法治国家では由々しき事態だ。「暴力装置」である自衛隊が法の統制を受けなくとも良い、あるいは法を曲げて良いということになる。これは法治、文民統制をないがしろにすることになる。
いずれの施策も、「専門家」であるはずの陸幕衛生部や陸自衛生学校が真摯に研究や教育を行ってきたとは思えないものばかりである。何かかが欠けていたり、不足していたりするレベルではなく、軍隊の衛生の常識から徹底的に乖離し、浮世離れしている。
そのような「平和ボケ」「浮世離れ」が体現されたあるコンサートが、9月28日、「自衛隊の衛生の総本山」である三宿駐屯地で行われた。
(この記事は、
【納税者も驚愕、陸自衛生学校体育館狂騒曲 その1】~「戦争ごっこ」レベルの第一線救護~ の続き。
【納税者も驚愕、陸自衛生学校体育館狂騒曲 その3】~浮世離れ?「衛生」総本山で疑惑のコンサート~ に続く。本シリーズ全5回。
記事中のリンクは、Japan In-depth HP:http://japan-indepth.jp でご覧ください)
トップ画像:負傷者した隊員を引きずって安全な場所へ移動する自衛隊員(訓練)©清谷信一
-
- 1
- 2
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
台湾有事に備え、態勢強化を進める日米。重視するのは「沖縄・先島諸島」 訓練強化、地元住民に募る不安
47NEWS / 2024年4月24日 10時0分
-
陸自石垣駐屯地で初の公道訓練 隊員30人が出発 「行軍 戦争の道」と書かれたプラカードで抗議する人も【動画あり】
沖縄タイムス+プラス / 2024年4月24日 7時20分
-
即応予備自衛官の40代男性が3000メートル走の訓練後、倒れ死亡 死因は確認中 第52普通科連隊長「痛恨の極み」陸自東千歳駐屯地
北海道放送 / 2024年4月22日 21時17分
-
動機不明…陸自発砲調査報告書 元幹部「これ以上何をすれば」 弾薬管理は「世界一厳格」
産経ニュース / 2024年4月18日 21時36分
-
航空専門医がいない空自に戦闘機開発はできない やる気のある医官が次々に辞める自衛隊の内情
東洋経済オンライン / 2024年4月3日 13時30分
ランキング
-
1フジコ・ヘミングさん死去 92歳、「魂のピアニスト」
共同通信 / 2024年5月2日 8時49分
-
2愛知の女子高生殺害、発生16年 県警が情報提供求める
共同通信 / 2024年5月2日 9時53分
-
3研修で用意された部屋に「タバコの臭いや換気扇のほこり」、20歳代の女性市職員が職務拒否…市が戒告処分に
読売新聞 / 2024年5月1日 6時43分
-
4遺体処理の報酬得て大阪府内で遊興か 〝実行役〟の容疑者2人、那須2遺体事件
産経ニュース / 2024年5月2日 10時46分
-
5内縁の夫を身代わりにしたか…女性が車にはねられ死亡したひき逃げ事件 41歳女を逮捕 当時娘や孫も乗る
東海テレビ / 2024年5月1日 22時32分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください