[古森義久]【米大統領選:クリントン候補に逆風】~対北「戦略的忍耐」政策の失敗~
Japan In-depth / 2016年1月9日 11時0分
アメリカでは北朝鮮の核爆発実験で大統領選挙の有力候補ヒラリー・クリントン氏への批判がわき起ってきた。同氏がオバマ政権の国務長官として推進した北朝鮮への「戦略的忍耐」政策が失敗したという声が共和党側から激しくぶつけられるようになったのだ。
「戦略的忍耐(strategic patience)」という用語はオバマ政権が登場して間もない2009年前半に北朝鮮に対してとるべきアメリカの政策態度として語られ始めた。オバマ政権の当時の国務長官だったクリントン氏が先頭になって使い出した用語だった。
その意味は北朝鮮の核兵器開発を阻むためには急がず、じっくりと様子をみて忍耐し、事態の好転を望む政策という感じだった。積極的に打って出ることや、果敢に圧力をかけることはせず、とにかく我慢をして待つ、という政策のわけだった。
だが北朝鮮はそのオバマ政権の消極姿勢を逆手にとった形で2009年5月に2回目の核実験、2013年2月に3回目の核実験を重ねてきた。そして今回の4回目の核実験である。この間、オバマ政権は「忍耐」を保って、北朝鮮の出方を見守ったが、よいことはなにもなく、北はその「忍耐」につけこむように核兵器開発のための爆発実験や弾道ミサイルの発射実験を続けていった。アメリカ政府の制裁や国連からの非難をものともしない動きだった。
しかし1月6日に北朝鮮の4回目の核爆発が発表され、「水素爆弾の使用」や「核兵器保有国としての宣言」が表明された。北朝鮮の非核化を最高至上の政策目標としてきたオバマ政権の「戦略的忍耐」は効果を生まなかったわけだ。
共和党側では大統領選に名乗りをあげているドナルド・トランプ、マルコ・ルビオ両候補がまず北朝鮮の核実験はオバマ政権の無策こそが最大の原因だと非難し、さらにそのオバマ政権はクリントン国務長官の「戦略的忍耐」策が不毛だったことを鋭く指摘した。
今後の選挙戦でも共和党側候補たちは北朝鮮の核実験をオバマ政権=クリントン国務長官への非難の焦点として提起していく構えをはっきりとみせるようになった。
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