[岩田太郎]【日米との和解で北朝鮮の核を中国に向けさせよ】~一発逆転のアジア外交 その1~
Japan In-depth / 2016年1月17日 18時0分
また、金日成・金正日・金正恩と続く歴代の北朝鮮支配者が、喉から手の出るほど欲しい米国による体制の安全保障を、日本は仲介できる立場にある。北朝鮮は朝鮮戦争休戦以来、一貫して「米国は休戦協定を平和協定に転換するための、我々の提案を無視して敵視政策にしがみついている」と米国を非難している。
その平和条約を、金正恩にくれてやるのだ。「北は、あわよくば核を保持したまま経済援助を得ようとしている」との批判もあるが、体制護持に加え、核保持を許し、人民の金正恩への忠誠を増大させる食料・原油・経済開発援助も与える。
北朝鮮は、長年の懸案であった安保が保障され、繁栄までが保証され、至れり尽くせり。日米との友好関係の大切さを悟る。中国は、「北朝鮮に対して唯一意味のある影響力を行使し得る国」ではなくなる。日米にとっては、北の核と向き合うコストが下がる一方、日米に照準を合わせなくなくなり、潜在的に北京や上海に向く北朝鮮の中長距離核ミサイルで中国の国防コストを激増させ、習政権が大陸と海洋の二正面において軍事的な対処をせざるを得なくする狙いがある。
日本は、戦前の北鮮地域の鉱物開発のノウハウを駆使し、最新の日本の技術・経営援助で北朝鮮の豊富な鉱物資源を開発し、安くて高技能の労働力を利用できる。平壌を流れる「大同江の奇跡」が起こるのを助け、北朝鮮の経済力を、50年前の日本の援助で「漢江の奇跡」を可能にした韓国に再び対抗できるレベルに育てる。日本と北朝鮮にはさまれた韓国の外交・軍事コストは急増し、中国と日米の間を事大主義で右往左往する苦境に陥り、慰安婦問題どころではなくなる。
しかし、日本が北朝鮮と和解する絶対条件がある。①金正日が拉致した日本人被害者が、金王朝の秘密を知っている者や朝鮮人の家族も含め全員帰国、②慰安婦を含む日本統治時代問題を「最終的かつ不可逆的」に解決、である。
(【拉致被害者全員返せば米朝平和条約は可能】~一発逆転のアジア外交 その2~ に続く。本シリーズ全2回)
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