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[林信吾]【もっとパラリンピックに注目しよう:オリンピックの6個目の輪 その6】~経済・財政から見る五輪~

Japan In-depth / 2016年1月25日 18時0分

前述のグットマン医師は、戦争で四肢を失った傷痍軍人たちに、

「失ったものを数えるべきではない。残されたものを最大限に生かすべきです」

と諭しながら、リハビリを指導した。ベストセラーとなった『五体不満足』(講談社)の著者、乙武洋匡氏は、

「障害は不便だけれど、不幸ではありません」

と喝破した。2020年東京五輪は、この精神を世界に向けて発信する大きなチャンスではないのか。「障がい者」などという表記を普及させようとする偽善では、なにも解決しないのだから。

もうひとつ、忘れてはならないのは、五輪によって国際化が推進される効果である。1988年ソウル五輪を控えて、韓国のTV番組は急に国際色豊かになった。今となっては忘れられた事実だが、実はそれまで、人前で日本語の歌を歌うことは「文化侵略」として禁じられていたのである(罰則規定まではなかったが)。つい先日、SMAPの解散騒動を韓国の聯合通信が「今世紀最大のニュース」と報じたが、まさに隔世の感があるではないか。

経済・財政の側面から五輪を検証してきた本シリーズだが、結論はこうだ。経済効果や「国威発揚」といった言葉でしか五輪を語れない態度こそ、実は五輪の精神からもっとも遠いのである。

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